それだけに昭和天皇のお怒りは激しいものがあり、直ちに「速やかに暴徒を鎮圧(ちんあつ)せよ」と命じられました。首相の安否(あんぴ)が分からないことで、内閣不在で混乱が生じてもおかしくない事態を、陛下のお言葉によって収めることができたのです。
もし陛下の素早(すばや)いご決断がなければ、我が国は皇道派によるクーデターによって政権が乗っ取られ、その後の運命がどのように変化したか分かりません。ただ、二・二六事件によって示された軍部の実力は、その後の内閣にも大きな影響を与え、事件後に組閣された広田弘毅(ひろたこうき)内閣によって軍部大臣現役武官制(ぐんぶだいじんげんえきぶかんせい)が復活してしまいました。
これは陸軍や海軍の大臣は必ず現役の軍人に限るという制度であり、もし内閣が軍部の意向に逆らうようであれば、軍部側は大臣を辞めさせたうえで後任の人選を拒否することで、内閣を総辞職させることができるというカラクリがありました。つまり、内閣は常に軍部の影響下に置かれてしまうという制度だったのです。
ところで、二・二六事件で重傷を負った鈴木貫太郎でしたが、とどめを刺(さ)されるところを、鈴木の妻の懇願(こんがん、ひたすらお願いすること)によって一命を取り留めました。この妻こそが「鈴木たか」、つまり幼年期の昭和天皇のお世話をした「足立たか」だったのです。たかによって生き長らえることができた鈴木は、やがて歴史の大きな舞台に再び登場することになります。




いつも有難うございます。
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オバrev いやぁ~、知らないことばかりです!
私が高校のときの日本史はご高齢ののんびりした先生で、授業は明治時代の途中までしかすすまず、後は自分でやって下さいと言われました(>_<)
ただ、おそらく大阪の大学には土地柄現代史専門の先生が少ないのか、たまたま受験した大学では現代史は出題されませんでした(^^ゞジツハワカッテマシタ
それにしてもこれだけの内容となると、当然高校で教える範囲を大幅に越えていると思います。
黒田先生は法学部出身ですから、特別日本史を深く学ばれた訳ではないでしょうから、おそらく独学で色々な資料を研究された結果じゃないかと推測するのですが、いかがでしょうか?
オバrevさんへ
黒田裕樹 お言葉有難うございます。
オバrevさんの仰るとおり、通常の近代史で学ぶ範囲を超えている可能性が高いですね。
しかしながらすべてが重要なところなので、削ろうにも削れないのがもどかしいところです。
ここまでの勉強も、仰るとおり独学からスタートしています。
教師になる決断をする以前から、自分の趣味の範囲で様々な文献を読んでいたのですが、研究すれば研究するほど奥が深いですね。
今回の段階での研究発表の意味も込めて講座を行っておりますが、数年後にはよりパワーアップしているかもしれませんよ(^^ゞ
ぴーち こんばんは!
陛下の一言で一旦は治まったかに見えた一連の事件も、やはりいかにこの時代の日本の軍部の勢い盛んな様子がうかがい知れますね。
あの「たか」さんは、ここで登場するのですね!
人間、渾身の思いを込めて相手にぶつかれば道は必ず開けるものなんだなと改めて感じました。
たかさんの真剣な思いがきっと相手の心を打ったのでしょう・・。感動的です。
応援凸
ぴーちさんへ
黒田裕樹 > 陛下の一言で一旦は治まったかに見えた一連の事件も、やはりいかにこの時代の日本の軍部の勢い盛んな様子がうかがい知れますね。
軍部によるクーデターこそ免れましたが、軍部大臣現役武官制を復活させたことで、軍部によるコントロールが決定的になりましたからね。この影響は大きかったと思います。
> あの「たか」さんは、ここで登場するのですね!
> 人間、渾身の思いを込めて相手にぶつかれば道は必ず開けるものなんだなと改めて感じました。
> たかさんの真剣な思いがきっと相手の心を打ったのでしょう・・。感動的です。
たか夫人は、軍刀でとどめを刺そうとした将校に対して「老人ですからとどめは刺さないで下さい。どうしてもというなら私の手で」と大声で叫んで止めたそうです。その後、病院に運ばれ鈴木の心臓が停止した際にも必死で夫の名を呼び続けたことで奇跡的に息を吹き返したとか…。まさに献身の夫婦愛が鈴木の生命を救ったことで、その後の歴史が大きく動くことになるんですよね。
mochimochi "たか”さんのお陰で命をとりとめた鈴木さんのその後が楽しみです。
独学とはすばらしい!
今は、インターネットの時代ですが、やはり本を読むべきですよね。
mochimochiさんへ
黒田裕樹 > "たか”さんのお陰で命をとりとめた鈴木さんのその後が楽しみです。
そうですね。この歴史の流れはまだまだ続きます。鈴木氏がなぜ生命を長らえたのか。この答えがやがて大きな舞台で明かされるんですよね。
> 独学とはすばらしい!
> 今は、インターネットの時代ですが、やはり本を読むべきですよね。
有難うございます。歴史系のサークルに入った経験もありますが、もともとは独学でしたからね。
仰るとおり、地道な読書を続けることが一番重要だと思います。
私が高校のときの日本史はご高齢ののんびりした先生で、授業は明治時代の途中までしかすすまず、後は自分でやって下さいと言われました(>_<)
ただ、おそらく大阪の大学には土地柄現代史専門の先生が少ないのか、たまたま受験した大学では現代史は出題されませんでした(^^ゞジツハワカッテマシタ
それにしてもこれだけの内容となると、当然高校で教える範囲を大幅に越えていると思います。
黒田先生は法学部出身ですから、特別日本史を深く学ばれた訳ではないでしょうから、おそらく独学で色々な資料を研究された結果じゃないかと推測するのですが、いかがでしょうか?
オバrevさんの仰るとおり、通常の近代史で学ぶ範囲を超えている可能性が高いですね。
しかしながらすべてが重要なところなので、削ろうにも削れないのがもどかしいところです。
ここまでの勉強も、仰るとおり独学からスタートしています。
教師になる決断をする以前から、自分の趣味の範囲で様々な文献を読んでいたのですが、研究すれば研究するほど奥が深いですね。
今回の段階での研究発表の意味も込めて講座を行っておりますが、数年後にはよりパワーアップしているかもしれませんよ(^^ゞ
陛下の一言で一旦は治まったかに見えた一連の事件も、やはりいかにこの時代の日本の軍部の勢い盛んな様子がうかがい知れますね。
あの「たか」さんは、ここで登場するのですね!
人間、渾身の思いを込めて相手にぶつかれば道は必ず開けるものなんだなと改めて感じました。
たかさんの真剣な思いがきっと相手の心を打ったのでしょう・・。感動的です。
応援凸
軍部によるクーデターこそ免れましたが、軍部大臣現役武官制を復活させたことで、軍部によるコントロールが決定的になりましたからね。この影響は大きかったと思います。
> あの「たか」さんは、ここで登場するのですね!
> 人間、渾身の思いを込めて相手にぶつかれば道は必ず開けるものなんだなと改めて感じました。
> たかさんの真剣な思いがきっと相手の心を打ったのでしょう・・。感動的です。
たか夫人は、軍刀でとどめを刺そうとした将校に対して「老人ですからとどめは刺さないで下さい。どうしてもというなら私の手で」と大声で叫んで止めたそうです。その後、病院に運ばれ鈴木の心臓が停止した際にも必死で夫の名を呼び続けたことで奇跡的に息を吹き返したとか…。まさに献身の夫婦愛が鈴木の生命を救ったことで、その後の歴史が大きく動くことになるんですよね。
独学とはすばらしい!
今は、インターネットの時代ですが、やはり本を読むべきですよね。
そうですね。この歴史の流れはまだまだ続きます。鈴木氏がなぜ生命を長らえたのか。この答えがやがて大きな舞台で明かされるんですよね。
> 独学とはすばらしい!
> 今は、インターネットの時代ですが、やはり本を読むべきですよね。
有難うございます。歴史系のサークルに入った経験もありますが、もともとは独学でしたからね。
仰るとおり、地道な読書を続けることが一番重要だと思います。