冠位十二階の制度によって、朝廷の権力向上と蘇我氏の衰退が同時に起きるとなぜ言い切れるのでしょうか。ここで、冠位十二階による様々な波及効果を検討してみましょう。
蘇我氏を冠位十二階から除外したということは、逆に言えば「蘇我氏に対抗できるだけの人材を育成できるルート」を新たに作ったことになります。また、その位は12段階に細かく分かれていますから、誰が見ても明確かつ客観的です。つまり、長い目で見れば、蘇我氏の勢力を圧倒できるだけの、しかも出世した優秀な人材のみをそろえることが出来るようになるのです。
さらに蘇我氏の立場で考えてみましょう。聖徳太子から「あなたは特別だから冠位十二階の位は授けませんよ」と言われれば、確かに自分の方が下であると認めるわけにはいきませんから、聖徳太子の深慮遠謀(しんりょえんぼう、先々のことまで考えた深いはかりごとのこと)に気付いたとしても、首を縦に振らざるを得ません。
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