しかし、昭和に入る頃には元老の多くが死に絶えており、権威が必然的に低下したことで、彼らが推薦して組織された内閣の指導力も同時に低下したのみならず、大日本帝国憲法の制定時には予期していなかった大きな問題が起きました。いわゆる「統帥権干犯(とうすいけんかんぱん)」のことです。
大日本帝国憲法の第11条には「天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」と書かれており、条文を素直に読めば「統帥権(=軍隊を指揮する権利)は天皇のみが有する」という規定だとも読めますが、もちろん実際に天皇ご自身が指揮を取られることはありません。
そもそも一国の軍備について決定を下すことは統治権の一部であり、統治権は天皇の名のもとに内閣が行うものです。従って、軍部による主張は統帥権の拡大解釈に過ぎず、統帥権干犯問題は軍部による反撃の一つでしかありませんでした。
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