そんな政府や軍首脳の対応を見た一部の青年将校の中から「大義のためなら何をしても許される」という考えが生まれていくのは、むしろ自然な流れでもありました。この後、我が国は軍部を中心とした様々な事件が発生するとともに、彼らの行動を誰も止められなくなってしまうのです。
関東軍による独断は、結果として別の問題も生み出しました。それは「日本の世界に対する信頼の失墜(しっつい)」です。本来であれば関東軍が独走する以前に、日本政府が国民政府や張学良軍に対して満州における日本人居留民への対策をしっかりと行い、その上で関東軍に適切な指令を出していれば、満州事変は起こらなかった可能性もあります。しかし、当時の幣原喜重郎(しではらきじゅうろう)外相による協調外交では、それらは望むべくもないことでした。
満州国の建国にしても、もし政府が主体となって事前に欧米列強を中心に根回しを行い、諸外国の承認のもとに満州国の独立を援助していれば、話は全く異なっていたことでしょう。
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