なぜなら、政党政治を行う立場である政党人自らが「軍部は政府の言うことを聞く必要がない=内閣は軍に干渉できない」ことを認めてしまったからです。事実、この問題をきっかけとして、我が国では軍部の独走を事実上誰も止められなくなってしまうようになりました。
さらには、政府のいうことを聞く必要がなくなった軍部自体も似たような悩みを抱えることになりました。なぜなら、軍のトップが憲法を盾(たて)に政府の言うことを聞く必要がないということが、自身の部下に対して「政府の言うことはもちろん、陸海軍の中央の意向も確認する必要がない」という風潮を同時に生み出してしまったからです。
やがて我が国では、青年将校を中心とした軍部による「血の粛清(しゅくせい)」が当たり前になったほか、陸軍首脳などが全くあずかり知らないところで現地の軍隊が勝手に軍事行動を起こすようになりますが、これらは元はといえば、国家全体の指揮系統を弱めた政治家や軍部の責任でもあるのです。
なお、統帥権干犯問題は最後には国家の統治機関の中枢(ちゅうすう)にまでその影響が及び、我が国は果てしない戦争への道を歩むことになります(詳しくはいずれ紹介します)。
※黒田裕樹の「百万人の歴史講座」をご紹介します。詳しくは下記のバナーをご覧ください。
※「黒田裕樹の歴史講座+日本史道場+東京歴史塾」のご案内です。他の教師とは全く異なる、歴史全体の大きな流れを重視した「分かりやすくて楽しい歴史」をモットーに多くの方にお教えいたします。詳しくは下記のバナーをご覧ください。
※無料メルマガ「黒田裕樹の歴史講座・メルマガ編」の登録はこちらからどうぞ。多くの皆様のご購読をよろしくお願いいたします。


いつも応援いただきまして、本当に有難うございます。