一例として、江戸時代初期には様々な治山(ちさん)・治水や都市整備などの事業が行われましたが、その際に精密な測量が必要だったことや、あるいは商業取引の際に重要だったことから和算(わさん)が発達しましたが、関孝和(せきたかかず)は筆算代数式(ひっさんだいすうしき)とその計算法や円周率の計算などで、いずれも当時のヨーロッパの研究水準と遜色(そんしょく)ない優れた業績を残しています。
また、元禄小判の発行で貨幣(かへい)の価値が下がったことに対して「金の価値を落とした偽物を市中に出回らせることで不正な利益を上げているのはケシカラン」という批判が幕閣の中で起きた際に、勘定吟味役(かんじょうぎんみやく)の荻原重秀(おぎわらしげひで)が「幕府が一両と認めるのであれば、たとえ瓦礫(がれき)であろうと一両の価値に変わりはない」と反論しました。
瓦礫を「紙切れ」に換えれば、重秀の考えは私たちが普段から使用している紙幣と全く同じことになります。「お金の信用はその材質ではなく、裏打ちとなっているのは政府の信用である」という思想が20世紀の経済学者であるイギリスのケインズによって世界中に広まりましたが、それより200年以上も早く実践(じっせん)していた重秀の先見性に対して、私たちはただただ脱帽するばかりですね。
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