もし海上から大砲や鉄砲などで対岸の陸地へ向かって発砲することができるようになれば、海で囲まれている我が国にとっては、日本列島のどこからでも狙(ねら)われるということにならないでしょうか。つまり、蒸気船の発明によって、我が国は「天然の防壁」どころか「どこからでも狙われる大変危険な国」になってしまったのです。
オランダも蒸気船の脅威(きょうい)が分かっていたからこそ、別の思惑があるとは考えられるものの、我が国に対して親切にも開国を勧告してきたのですが、そんなオランダに対して、老中の阿部正弘(あべまさひろ)は世界情勢の認識の乏(とぼ)しさもあって勧告を無視してしまいました。
「鎖国は幕府の祖法であって変えることはできない」。間違った認識を言い続けることで、自身をも騙(だま)し、判断を誤る(今も行われているかもしれませんが)。こうした自家撞着(じかどうちゃく、同じ人の言動や文章が前後で食い違っていること)が、我が国最大の危機と幕府崩壊への序章になったのです。
なお、言うまでもないことですが、いわゆる「鎖国」を行ったのは徳川家康(とくがわいえやす)ではなく、よって幕府の「祖法」ではありません。
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