寺院にとっても、周辺の住民が檀家となることで信者数が固定され、また幕府の保護を受けて経済的な安定を得ることができましたが、それは同時に、これまでのような熱心な布教活動が不要となったことで、仏教の本来の任務に対する情熱を失わせる結果をもたらしました。
このような流れを受け継いだことで、我が国では国民の宗教に対する意識が低下した結果、いわゆる「無神論者(むしんろんしゃ)」が増えており、日本人の宗教観のなさや宗教に関する無関心さが、宗教を重んじる外国人との間でトラブルを引き起こすなど国内外で問題となっています。
また、政教分離を強調するあまり、我が国古来の風習である「神道との関わり」のすべてが否定される傾向が見られ、内閣総理大臣や知事、市長などが公人(こうじん)の立場で神社に参拝したり、あるいは玉ぐし料を支出したりすることなどが憲法違反の疑いがあるとみなされています。
政教分離に至る歴史の重みを現代に生きる私たちがしっかりと受け止めるのみならず、日本人として当然に持つべき宗教観の育成も、我が国にとって重要な課題であると私は思います。そのためにも、宗教に対する知識や理解を深める一方で、杓子(しゃくし)定規な解釈で宗教との関わりを一切断(た)ったりすることがないよう、私たちは心掛けるべきではないでしょうか。
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