通常であれば、お福のような無位無官(むいむかん)の人間が昇殿できるはずがありません。ところが、幕府はお福を無理やり公家の身内とし、従三位(じゅさんみ)の位と「春日局(かすがのつぼね)」の称号を与えたうえで、後水尾天皇への拝謁(はいえつ、身分の高い人に会うこと)を実現させました。
幕府の度重なる強引な手法に堪忍袋(かんにんぶくろ)の緒(お)が切れた後水尾天皇は、同じ年に前将軍の徳川秀忠の娘との間にお生まれで7歳の興子内親王(おきこないしんのう)に、幕府に無断で譲位されました。奈良時代以来859年ぶりの女帝(じょてい)となる109代の明正(めいしょう)天皇のご誕生です。
突然の譲位に対して幕府は激怒しましたが、いくら何でも既(すで)に行われた譲位を幕府が取り消すことができるはずがありません。こうしてかつての藤原(ふじわら)氏や平家(へいけ)のように、徳川家が天皇の外戚(がいせき、母方の親戚のこと)となった訳ですが、その裏には後水尾天皇の幕府に対する巧妙な意趣返(いしゅがえ)しがありました。
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