しかし、分割相続による所領の細分化が、やがて御家人たちに深刻な影響を及ぼすようになりました。なぜなら、細分化によって農業収入は必然的に減少するのに対して、幕府からの様々な命令には「御恩」がある以上、これまでどおり従わなければならないからです。
幕府への義務を果たす「奉公」は出費がかさむため、やがて御家人の多くが借上(かしあげ)や土倉(どそう)といった業者から借金をし始めましたが、借金を返済できなくなった御家人の中には、担保として自らの所領を奪われてしまう者も現われるようになりました。そして、元寇による負担がこうした流れに拍車をかけてしまったのです。
通常の場合、御家人は負担した軍役(ぐんえき)の結果、滅亡した相手方の所領から褒美(ほうび)がもらえることで、それなりの収入を得ることができました。しかし、海を渡ってやって来た元軍が日本国内の所領を持っているわけがありません。従って、九州まで自己負担で遠征して命がけで戦ったにもかかわらず、褒美でもらえる所領がないという、御家人たちにとっては極めて深刻な事態となってしまいました。
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