欧州各国の憲法を調査した結果、伊藤博文が選択したのはプロイセン(現在のドイツ)型の憲法でした。憲法制定以降も条約改正などの問題が山積している情勢では、政府主体で引き続き強い意思で政治を行う必要があり、そのためにも君主が現行の政府に任命するという形式の憲法にしたほうがよいと判断したからです。なお、明治憲法が欽定憲法(きんていけんぽう)となったのもこうした経緯からであり、天皇に強い権限を与えるという意味ではありません。
伊藤博文の帰国後、明治18(1885)年に内閣制度が設けられて憲法制定後の政治路線が明確化される一方で、憲法も時間をかけて慎重に草案(そうあん、下書きや原案のこと)が練(ね)られ、明治21(1888)年につくられた枢密院(すうみついん)で審議するという着実な段階を経た上で、明治22(1889)年2月11日、明治憲法はついに公布されました。この瞬間、我が国はアジア初の立憲国家(りっかんこっか、憲法を持つ国家)となったのです。
憲法発布の当日は祝賀行事が各地で行われ、国民がこぞって憲法の発布を祝いました。普段は反政府的な立場をとっていた新聞でさえ、「聞きしに優(まさ)る良憲法」「大体においては実に称賛(しょうさん)すべきの憲法」と評価しており、また自由民権運動家でもっとも急進的な私擬憲法(しぎけんぽう、憲法発布以前に民間で検討された憲法試案のこと)を発表したことで知られる植木枝盛(うえきえもり)も、我が国に憲法ができたことを祝福する言葉を残しています。
さらに、有色人種のアジア人の国家が憲法を、それも明治維新からわずか20年余りでつくったことに対して、欧米諸国からは感嘆(かんたん)の声が上がるとともに、憲法に対して高く評価しました。明治憲法の発布は、世界史上においても燦然(さんぜん)と輝く、画期的な出来事だったのです。




いつも有難うございます。
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ぴーち こんばんは!
明治憲法は、20年余り・・と在りますが、むしろ、私は「20年も掛かるものなのか!」という思いを抱きました^^;
けれど、確かに一国の憲法を制定するという事は、大変な時間と労力を要するものなんですね。
制定された後までも、後々、その時代にそぐわなくなって来てしまう場合もありますものね^^;
勉強になりました(^0^
応援です凸
ぴーちさんへ
黒田裕樹 > 明治憲法は、20年余り・・と在りますが、むしろ、私は「20年も掛かるものなのか!」という思いを抱きました^^;
なるほど、いわれてみれば確かに「逆もまた真なり」ですね。新政府の樹立からそれだけ苦労を重ねてきたわけでもありますが…。
> けれど、確かに一国の憲法を制定するという事は、大変な時間と労力を要するものなんですね。
> 制定された後までも、後々、その時代にそぐわなくなって来てしまう場合もありますものね^^;
> 勉強になりました(^0^
有難うございます(^o^)丿
明治憲法までの我が国、そして時の政府の苦労を思えば、憲法制定までの道のりがもっと評価されてもいいと個人的には思っています。ただ、どれだけ素晴らしい法律であっても、仰るとおり時代とともにそぐわなくなってくる部分もあるんです。
そのあたりについては講座の最後の方で紹介できると思います。
非常に健全な日本の歴史
青田です。 黒田先生
こんばんは
青田です。
最近、
『アメリカ史の真実 なぜ「情容赦のない国」が生まれたのか』を読みました。
その本を読んで、逆に日本の歴史が非常に健全なプロセスを辿っていると感じました。
神話→古代→中世→近世→近代(明治憲法の成立)
という流れがあります。
しかし、アメリカの歴史は
いきなり、
近世→近代になっています。
つまり、人間の精神的な過程に影響を及ぼす
神話の時代、中世の歴史もないわけです。
だから、古代エジプトで認められていた奴隷制度として、時代錯誤の黒人奴隷をつい100年前まで、近代国家を標榜するアメリカで存在していました。
それに
第二次世界大戦後の東京裁判などのアメリカの
騎士道精神が全くないことが何となく、理解できました。
余談ですが、中国は、逆に
古代中国→ 中世の中国
その中世の中国のまま、カタチだけ市場経済を導入。(1回も選挙をしたことがなく、憲法もない国)
こう考えると、歴史というのは、単なる過去の話ではなく、国家の成長の記録ですね。
(赤ちゃんが、スグに大人になれないとの同じように)
『歴史とは、国の成長の物語り』と思います。
青田さんへ
黒田裕樹 仰るとおりですね。
国の健やかな成長をうながした我が国の長い歴史。
その歴史を抹殺すれば、その後どうなるかは自明の理のはずですが…。
明治憲法は、20年余り・・と在りますが、むしろ、私は「20年も掛かるものなのか!」という思いを抱きました^^;
けれど、確かに一国の憲法を制定するという事は、大変な時間と労力を要するものなんですね。
制定された後までも、後々、その時代にそぐわなくなって来てしまう場合もありますものね^^;
勉強になりました(^0^
応援です凸
なるほど、いわれてみれば確かに「逆もまた真なり」ですね。新政府の樹立からそれだけ苦労を重ねてきたわけでもありますが…。
> けれど、確かに一国の憲法を制定するという事は、大変な時間と労力を要するものなんですね。
> 制定された後までも、後々、その時代にそぐわなくなって来てしまう場合もありますものね^^;
> 勉強になりました(^0^
有難うございます(^o^)丿
明治憲法までの我が国、そして時の政府の苦労を思えば、憲法制定までの道のりがもっと評価されてもいいと個人的には思っています。ただ、どれだけ素晴らしい法律であっても、仰るとおり時代とともにそぐわなくなってくる部分もあるんです。
そのあたりについては講座の最後の方で紹介できると思います。
こんばんは
青田です。
最近、
『アメリカ史の真実 なぜ「情容赦のない国」が生まれたのか』を読みました。
その本を読んで、逆に日本の歴史が非常に健全なプロセスを辿っていると感じました。
神話→古代→中世→近世→近代(明治憲法の成立)
という流れがあります。
しかし、アメリカの歴史は
いきなり、
近世→近代になっています。
つまり、人間の精神的な過程に影響を及ぼす
神話の時代、中世の歴史もないわけです。
だから、古代エジプトで認められていた奴隷制度として、時代錯誤の黒人奴隷をつい100年前まで、近代国家を標榜するアメリカで存在していました。
それに
第二次世界大戦後の東京裁判などのアメリカの
騎士道精神が全くないことが何となく、理解できました。
余談ですが、中国は、逆に
古代中国→ 中世の中国
その中世の中国のまま、カタチだけ市場経済を導入。(1回も選挙をしたことがなく、憲法もない国)
こう考えると、歴史というのは、単なる過去の話ではなく、国家の成長の記録ですね。
(赤ちゃんが、スグに大人になれないとの同じように)
『歴史とは、国の成長の物語り』と思います。
国の健やかな成長をうながした我が国の長い歴史。
その歴史を抹殺すれば、その後どうなるかは自明の理のはずですが…。