幕末以降、黒船などによる諸外国の圧力によって無理やり開国させられた我が国は、当時の国力の大きな差や、準備不足の隙（すき）をつかれたこともあって、諸外国と不平等な条約を結ばざるを得ませんでした。

それは、黒船来航以前から開国のチャンスがいくらでも存在したにもかかわらず、鎖国（さこく）の状態が我が国の祖法（そほう、先祖の代から守るべきしきたりのこと）であるという誤解を信じ込み、何の手も打たなかった江戸幕府の失政でもありました。

開国から明治維新（めいじいしん）までの十数年間、我が国は未曾有（みぞう、今までに経験したこともないこと）の混乱期を経て幕府が倒れ、新しい政府が樹立（じゅりつ）されることになりますが、こうした経緯には「失政をした幕府に政権は任せられない」という大きな流れが背景にあったといえるでしょう。

さて、幕府に代わって政治の実権を新たに握った明治新政府には、なさねばならない課題が山積（さんせき）していましたが、なかでも最大の問題は「いかにして我が国の独立を守り、他国からの植民地化を防ぐか」ということでした。



　　　　　　

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