そんな風習が、生類憐みの令によって、綺麗さっぱり一掃されてしまったのです。確かに人間よりも動物の方が大切であるかのような法令には、行き過ぎた問題がありましたが、年月の経過とともに骨の髄にまで染み付いてしまった「戦国の遺風」をなくすためには、ある意味では「劇薬」ともいえるショック療法が必要でした。
生類憐みの令の他に「劇薬」として知られているものに、織田信長(おだのぶなが)の領地における「一銭斬り」がありますが、これはたとえ一銭であっても盗めば首が飛ぶというとんでもない内容でした。
しかし、この法令があったお陰で、信長の領地では、夜道を女性が一人で歩けるほど安全になったという記録が残されています。信長の無茶な法令に比べれば、約20年間で69件しか処罰されず、死罪も13件しかなかった生類憐みの令の方が、よほど人道的であったというべきでしょう。
江戸時代には、落語の世界の「熊さん八っつあん」に代表されるような「助け合いの精神」があったと一般に知られていますが、初期はむしろ全く逆でした。しかし、綱吉の出した法令がそれを180度転換し、生命を大切にするとともに相手の立場を尊重するという道徳心をもたらし、現代にまで続いているのです。
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