なぜなら、平氏が摂関家の真似(まね)をしただけでは、武士たちの立場に全く変化がなかったからです。もともと藤原氏が摂関政治を行っていた頃には、武士たちの多くが「貴族たちには武士の気持ちなどは分かるまい」と思い、あきらめていました。そんな折に自分たちの代表でもある平氏が政治の実権を握り、今度こそはという期待が高かっただけに、裏切られたという思いも強く、平氏に対して「同じ武士なのに、どうして俺たちの思いが分からないのか」と余計に不満を持つようになりました。
また、それまで政治を行っていた貴族たちも、身分が低いうえに血を流す「ケガレた」仕事しかしないと見下(みくだ)していた武士である平氏が、自分たちの真似をしたことに対して激しく反発していました。すなわち、平氏の行った政治は、武士と貴族の双方から問答無用で拒否されてしまったのです。後の世で武士による政治が広く支持されたという現実を考えれば、初めてであるがゆえに確固(かっこ)たるビジョンを持てなかった「開拓者」としての平氏の悲劇でもありました。
こうして、武士として初めて政治の実権を握った平氏は、当時の国民の代表たる武士たちの共感を得ることができませんでした。いくら武力で世の中を支配したところで、それが国民の理解を得られなければ、その支配は長続きできません。それゆえに「武士のための政治」を実現させる他の勢力が現われると、平氏の天下はたちまち崩れ去ってしまう運命にあり、現実としてそうなってしまいました。
では「武士のための政治」とは一体どのようなものなのでしょうか。そして、平氏にかわって政治の実権を握った勢力には、なぜ「武士のための政治」が理解できたのでしょうか?
この謎を解き明かすためにも、カギを握る人物の行動を、次の時代の分野でじっくりと考察(こうさつ)してみたいと思います。




いつも有難うございます。
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えめる 世を治めるものは、確かなビジョンを持たなければならニャイ。
ですにゃね。
武士による政治の先駆者であった清盛。
自分の立場しか考えなかったのかニャ……。
次回からじっくりでスニャね。
はいっ!←返事だけ元気なネコ。
えめるさんへ
黒田裕樹 > 世を治めるものは、確かなビジョンを持たなければならニャイ。
> ですにゃね。
> 武士による政治の先駆者であった清盛。
> 自分の立場しか考えなかったのかニャ……。
武士であっても、後半は事実上貴族でしたからね。「武士の気持ち」が分からなくなっていたと思われます。それがまた悲劇でもありました。
> 次回からじっくりでスニャね。
> はいっ!←返事だけ元気なネコ。
そうなんですが、ワンポイントをはさんで吉宗になりますので、再開にはしばらく時間がかかるかも…m(_ _)m
馬人 貴族から逆に批判されてしまったんですね…。
学校生活でいうと、転校したところで威張り、
「何コイツ、この学校を分かったフリして威張ってやんの」
といじめられるようなものでしょうか?ww
貴族から見れば、武士は汚れてますもんね・・・。
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馬人さんへ
黒田裕樹 > 貴族から逆に批判されてしまったんですね…。
> 学校生活でいうと、転校したところで威張り、
> 「何コイツ、この学校を分かったフリして威張ってやんの」
> といじめられるようなものでしょうか?ww
なるほど、上手い例えですね。あとは生徒会長に立候補した際に「生徒の言い分を通してみせる!」と息巻いたことで圧倒的多数で当選したのに、実際には先生の言いなりになっているとか(笑)。「生徒」と「先生」以外でも当てはまるのものは多そうですね。
> 貴族から見れば、武士は汚れてますもんね・・・。
そのとおりです。争って血を流す「ケガレた」存在としか見ていませんでしたからね。そもそもは自分たちの政治のせいで武士が誕生せざるを得なかったというのに…。
ブログランキングさんへ
黒田裕樹 お誘いいただいて有難うございます。
あまりランキングを増やすと、ご覧になっていただく方へのご負担が増える恐れもありますので、慎重に判断したいと思います。
身分
JJSG こんばんは。
先がまた楽しみになってきました。
貴族も武士も皇族も、みな同じ人間なのに、どうして皆、上下の身分差別をつけたがるのでしょう。。。
結局、人間は、自分さえよければよい、という我利我利亡者が本性だからでしょうか。」
そして、歴史は繰り返される。。。
続きを楽しみにしています♪
JJSGさんへ
黒田裕樹 > 貴族も武士も皇族も、みな同じ人間なのに、どうして皆、上下の身分差別をつけたがるのでしょう。。。
「他人とは違う」ことでしか存在感のない人が多いからかもしれませんね。本来は「オンリーワン」で当たり前なのに、わざわざ歌で紹介されるくらいですから…。
> 結局、人間は、自分さえよければよい、という我利我利亡者が本性だからでしょうか。」
> そして、歴史は繰り返される。。。
確かに本性かもしれませんね。なまじ権力を持つと、歯止めが効かなくなるのかも…。
> 続きを楽しみにしています♪
有難うございます。ただ、講座のUPなどがありまして、しばらく時間をいただくことになりますのでご了承下さい。
h.hamauzu こんばんは!
新しいことを切り開いて、モノにする・・・
そのためには確乎たるビジョンが必要なんですね。
分かっちゃいるけど耳が痛いです~!
ちなみに私の家系は平氏の末裔でして、
父方の田舎は高知の山奥だったりします
つまり、高知まで落ち延びたわけです・・・
で、父の名前は「章盛(あきもり)」といいます。
いかにも平氏だと思いませんか?
身内の話で失礼しました♪
h.hamauzuさんへ
黒田裕樹 > こんばんは!
> 新しいことを切り開いて、モノにする・・・
> そのためには確乎たるビジョンが必要なんですね。
> 分かっちゃいるけど耳が痛いです~!
確かに「言うは易し、行うは難し」ですからね。でも、方法が分かればできないことはないし、できたからこそ新しい時代を迎えられたのもまた事実なんですよね。
> ちなみに私の家系は平氏の末裔でして、
> 父方の田舎は高知の山奥だったりします
> つまり、高知まで落ち延びたわけです・・・
「落人伝説」は各地にありますからね。山奥のように見つかりにくい場所でない
と生活できないのも事実のようです。
> で、父の名前は「章盛(あきもり)」といいます。
> いかにも平氏だと思いませんか?
確かに「盛」がつくと、そういうイメージがありますね。
> 身内の話で失礼しました♪
いえいえ、また数々のお話を楽しみにしておりますm(_ _)m
miwa 開拓者ゆえの悲劇が2つ続いてしまったという訳ですね。
法皇を幽閉した事で周囲のひんしゅくを買い、
貴族の政治方針を踏襲する事で武士の顰蹙を買う。
日本人はなぜ海外のように天皇を処刑しなかったのでしょうね?大昔から現在に至るまで、何度も機会はあったはずなのに。不思議です。
miwaさんへ
黒田裕樹 > 開拓者ゆえの悲劇が2つ続いてしまったという訳ですね。
> 法皇を幽閉した事で周囲のひんしゅくを買い、
> 貴族の政治方針を踏襲する事で武士の顰蹙を買う。
後の世になれば理解されることでも、「前例がない」ゆえに当時には認められない。平氏に限ったことではないのですが、初めてであるということは、かくも大変なことなのだな、と思い知らされるエピソードですね。
> 日本人はなぜ海外のように天皇を処刑しなかったのでしょうね?大昔から現在に至るまで、何度も機会はあったはずなのに。不思議です。
様々な説がありますが、政治が「まつりごと」と呼ばれていた古代から、宗教的権威で我が国を治められてきた皇室であるがゆえに、仮に滅ぼすことがあれば、そのタタリは他家の比ではなかったからではないか、と私は考えます。
そして、皇室の存在を認めたうえで、彼らの下で政治を行うという形式にすれば周囲の理解を得られるだろうという思惑があったればこそ、摂関政治や後の幕府政治が成立したのだと思います。
ですにゃね。
武士による政治の先駆者であった清盛。
自分の立場しか考えなかったのかニャ……。
次回からじっくりでスニャね。
はいっ!←返事だけ元気なネコ。
> ですにゃね。
> 武士による政治の先駆者であった清盛。
> 自分の立場しか考えなかったのかニャ……。
武士であっても、後半は事実上貴族でしたからね。「武士の気持ち」が分からなくなっていたと思われます。それがまた悲劇でもありました。
> 次回からじっくりでスニャね。
> はいっ!←返事だけ元気なネコ。
そうなんですが、ワンポイントをはさんで吉宗になりますので、再開にはしばらく時間がかかるかも…m(_ _)m
学校生活でいうと、転校したところで威張り、
「何コイツ、この学校を分かったフリして威張ってやんの」
といじめられるようなものでしょうか?ww
貴族から見れば、武士は汚れてますもんね・・・。
> 学校生活でいうと、転校したところで威張り、
> 「何コイツ、この学校を分かったフリして威張ってやんの」
> といじめられるようなものでしょうか?ww
なるほど、上手い例えですね。あとは生徒会長に立候補した際に「生徒の言い分を通してみせる!」と息巻いたことで圧倒的多数で当選したのに、実際には先生の言いなりになっているとか(笑)。「生徒」と「先生」以外でも当てはまるのものは多そうですね。
> 貴族から見れば、武士は汚れてますもんね・・・。
そのとおりです。争って血を流す「ケガレた」存在としか見ていませんでしたからね。そもそもは自分たちの政治のせいで武士が誕生せざるを得なかったというのに…。
あまりランキングを増やすと、ご覧になっていただく方へのご負担が増える恐れもありますので、慎重に判断したいと思います。
先がまた楽しみになってきました。
貴族も武士も皇族も、みな同じ人間なのに、どうして皆、上下の身分差別をつけたがるのでしょう。。。
結局、人間は、自分さえよければよい、という我利我利亡者が本性だからでしょうか。」
そして、歴史は繰り返される。。。
続きを楽しみにしています♪
「他人とは違う」ことでしか存在感のない人が多いからかもしれませんね。本来は「オンリーワン」で当たり前なのに、わざわざ歌で紹介されるくらいですから…。
> 結局、人間は、自分さえよければよい、という我利我利亡者が本性だからでしょうか。」
> そして、歴史は繰り返される。。。
確かに本性かもしれませんね。なまじ権力を持つと、歯止めが効かなくなるのかも…。
> 続きを楽しみにしています♪
有難うございます。ただ、講座のUPなどがありまして、しばらく時間をいただくことになりますのでご了承下さい。
新しいことを切り開いて、モノにする・・・
そのためには確乎たるビジョンが必要なんですね。
分かっちゃいるけど耳が痛いです~!
ちなみに私の家系は平氏の末裔でして、
父方の田舎は高知の山奥だったりします
つまり、高知まで落ち延びたわけです・・・
で、父の名前は「章盛(あきもり)」といいます。
いかにも平氏だと思いませんか?
身内の話で失礼しました♪
> 新しいことを切り開いて、モノにする・・・
> そのためには確乎たるビジョンが必要なんですね。
> 分かっちゃいるけど耳が痛いです~!
確かに「言うは易し、行うは難し」ですからね。でも、方法が分かればできないことはないし、できたからこそ新しい時代を迎えられたのもまた事実なんですよね。
> ちなみに私の家系は平氏の末裔でして、
> 父方の田舎は高知の山奥だったりします
> つまり、高知まで落ち延びたわけです・・・
「落人伝説」は各地にありますからね。山奥のように見つかりにくい場所でない
と生活できないのも事実のようです。
> で、父の名前は「章盛(あきもり)」といいます。
> いかにも平氏だと思いませんか?
確かに「盛」がつくと、そういうイメージがありますね。
> 身内の話で失礼しました♪
いえいえ、また数々のお話を楽しみにしておりますm(_ _)m
法皇を幽閉した事で周囲のひんしゅくを買い、
貴族の政治方針を踏襲する事で武士の顰蹙を買う。
日本人はなぜ海外のように天皇を処刑しなかったのでしょうね?大昔から現在に至るまで、何度も機会はあったはずなのに。不思議です。
> 法皇を幽閉した事で周囲のひんしゅくを買い、
> 貴族の政治方針を踏襲する事で武士の顰蹙を買う。
後の世になれば理解されることでも、「前例がない」ゆえに当時には認められない。平氏に限ったことではないのですが、初めてであるということは、かくも大変なことなのだな、と思い知らされるエピソードですね。
> 日本人はなぜ海外のように天皇を処刑しなかったのでしょうね?大昔から現在に至るまで、何度も機会はあったはずなのに。不思議です。
様々な説がありますが、政治が「まつりごと」と呼ばれていた古代から、宗教的権威で我が国を治められてきた皇室であるがゆえに、仮に滅ぼすことがあれば、そのタタリは他家の比ではなかったからではないか、と私は考えます。
そして、皇室の存在を認めたうえで、彼らの下で政治を行うという形式にすれば周囲の理解を得られるだろうという思惑があったればこそ、摂関政治や後の幕府政治が成立したのだと思います。