ところで、小判の質が下がったことで物価が上昇する、いわゆるインフレーションによって庶民が大迷惑を受けたという説が残っていますが、実はこれも誤りです。
この時代のインフレの主な原因は、むしろ物資の供給不足にありました。好景気で急増する都市人口に対応できるだけの物資がなかなかそろわなかったのです。また、仮にインフレで物価が上昇しても、景気が良ければ賃金も一緒に上がりますから、庶民のダメージは大きくなかったどころか、全体の金回りが良くなったことによって生活の余裕がさらに生まれ、元禄文化が栄えたもう一つの原因となったのです。
なお、貨幣の価値が下がったことに対する幕閣からの批判に対して、荻原重秀は「幕府が一両と認めるのであれば、たとえ瓦礫(がれき)であろうと一両の価値に変わりはない」と述べています。瓦礫を紙切れに換えれば、私たちが使用する紙幣と同じですよね。
「お金の信用はその材質ではなく、裏打ちとなっているのは政府の信用である」という考えを、20世紀の経済学者であるイギリスのケインズよりも200年以上も早く先取りした重秀の先見の明(せんけんのめい)には、ただただ脱帽するばかりです。
このように、綱吉が次々と打ち出した多くの政策は、人々の意識を「人命を尊重する思いやりの精神」に改め、景気を良くして元禄文化の全盛をもたらし、また思い切った人材登用は、様々な問題にも即座に対応できる政治体制を作り上げました。




いつも有難うございます。
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紗那 うわー・・・
なんかめちゃくちゃ誤解してました!
ほんと申し訳ない感たっぷりです。
貨幣の質→インフレって学校で習った気がするのに・・・!
ちょっと学校の先生にこの内容テストしてみますっ!
確かに、政府の信用っていうのは今と同じ考えですねー。これはもう、僕の尊敬する歴史上の人物に投入決定です!
聞けば聞くほど
JJSG こんにちは。
聞けば聞くほど、素晴らしい政策をした将軍ですね。
そして、実行力があり、判断力もあり、斬新で大胆で、思い切りがよくて、発想力もあって。。。
いいことづくし。
今のところ。。。
紗那さんへ
黒田裕樹 綱吉公に関しては、確かに「誤解のオンパレード」というところがありますね。
インフレーションと一口に言っても、我が国のかつての高度経済成長期(昭和30~40年代)がそうであったように、物価と一緒に収入も上がれば、景気を刺激して良い効果を生むこともあるんです。ただ、景気が悪化しているのにインフレーションになると(これをスタグフレーションといいます)、これは本当に厄介ですが。
「政府の信用」で貨幣を発行する、という考えが完全に定着したのは20世紀になってからです。それまでは金本位制が世界の主流でしたからね。この考えに200年以上も前にケインズの理論に到達する経済官僚が我が国に存在していたという事実は本当に凄いと思います。
JJSGさんへ
黒田裕樹 綱吉公は、現代の視点から考えれば、確かに「いいことづくし」の将軍です。
ところが、治世中の評価はどうだったのか…。少し先走りましたが、いずれ紹介します。
馬人 どうも訪問ありがとうございます!
元禄文化あたりは授業で習っている真っ最中なので興味深いです^^
歴史は苦手なのでこういうブログを発見して助かりました。
インフレーションって、元禄文化が栄えたひとつの出来事なんですね…!
逆の説を言っている先生に説明しなければw
もしよろしければ相互リンクをお願いできますか?
馬人さんへ
黒田裕樹 こちらこそコメント有難うございます(^o^)丿
ちょうど学んでおられる箇所でしたか。それは良かったです。
「インフレ=悪」という図式が頭の中で完成されていると、元禄小判への改鋳がどうしてもマイナスの印象しか頭に浮かばないのですが、真相は上記のとおりです。他の方のコメントにも書きましたが、昭和30~40年代における我が国の高度成長と流れがそっくりそのまま同じですからね。好景気が続いた時代には「昭和元禄」という言葉が使われたくらいですし。
相互リンクの件、大歓迎です。これからもよろしくお願いしますm(_ _)m
管理人のみ閲覧できます
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インフレの力
青田です。 黒田先生
こんばんは
青田です。
現在、デフレ不況で、増税という流れになっていますが、
そんな時、綱吉の政策のインフレ政策を思い出しました。
政府は、税金と社会保障の一体化で、税金を
上げないといけないと言っています。
国民もそうかなと思っていますが、
今の政府って、徳川吉宗が、儒教と商行為の呪縛にかかっていたのと同じように
北欧型の社会にする=増税という表面的なことしか考えていない気がします。
この前、北欧のデンマークの本を読みました。
デンマークは、所得税は50%、消費税は25%です。
政治家は、それで、日本の消費税は、低すぎると言っているのですが、
デンマークは、その代わり、インフレの国で
物価も高いですが、給与も高いです。だから
国民は、納得しています。
これって、黒田先生が綱吉のインフレ政策で
物価も上がっているけど、給与も上がっているから、庶民は、困ってなかったというのと同じですよね。
しかも、綱吉は、年貢の率を下げました。
今でいう減税です。
もしかしたら、今の政府って、綱吉よりも、
ど素人かもしれませんね。
青田さんへ
黒田裕樹 仰るとおり、経済のイロハを分かっていませんね。
分かっていないというよりも、わざとやっているとしか…。
まさか国民をなめているとでも?
なんかめちゃくちゃ誤解してました!
ほんと申し訳ない感たっぷりです。
貨幣の質→インフレって学校で習った気がするのに・・・!
ちょっと学校の先生にこの内容テストしてみますっ!
確かに、政府の信用っていうのは今と同じ考えですねー。これはもう、僕の尊敬する歴史上の人物に投入決定です!
聞けば聞くほど、素晴らしい政策をした将軍ですね。
そして、実行力があり、判断力もあり、斬新で大胆で、思い切りがよくて、発想力もあって。。。
いいことづくし。
今のところ。。。
インフレーションと一口に言っても、我が国のかつての高度経済成長期(昭和30~40年代)がそうであったように、物価と一緒に収入も上がれば、景気を刺激して良い効果を生むこともあるんです。ただ、景気が悪化しているのにインフレーションになると(これをスタグフレーションといいます)、これは本当に厄介ですが。
「政府の信用」で貨幣を発行する、という考えが完全に定着したのは20世紀になってからです。それまでは金本位制が世界の主流でしたからね。この考えに200年以上も前にケインズの理論に到達する経済官僚が我が国に存在していたという事実は本当に凄いと思います。
ところが、治世中の評価はどうだったのか…。少し先走りましたが、いずれ紹介します。
元禄文化あたりは授業で習っている真っ最中なので興味深いです^^
歴史は苦手なのでこういうブログを発見して助かりました。
インフレーションって、元禄文化が栄えたひとつの出来事なんですね…!
逆の説を言っている先生に説明しなければw
もしよろしければ相互リンクをお願いできますか?
ちょうど学んでおられる箇所でしたか。それは良かったです。
「インフレ=悪」という図式が頭の中で完成されていると、元禄小判への改鋳がどうしてもマイナスの印象しか頭に浮かばないのですが、真相は上記のとおりです。他の方のコメントにも書きましたが、昭和30~40年代における我が国の高度成長と流れがそっくりそのまま同じですからね。好景気が続いた時代には「昭和元禄」という言葉が使われたくらいですし。
相互リンクの件、大歓迎です。これからもよろしくお願いしますm(_ _)m
こんばんは
青田です。
現在、デフレ不況で、増税という流れになっていますが、
そんな時、綱吉の政策のインフレ政策を思い出しました。
政府は、税金と社会保障の一体化で、税金を
上げないといけないと言っています。
国民もそうかなと思っていますが、
今の政府って、徳川吉宗が、儒教と商行為の呪縛にかかっていたのと同じように
北欧型の社会にする=増税という表面的なことしか考えていない気がします。
この前、北欧のデンマークの本を読みました。
デンマークは、所得税は50%、消費税は25%です。
政治家は、それで、日本の消費税は、低すぎると言っているのですが、
デンマークは、その代わり、インフレの国で
物価も高いですが、給与も高いです。だから
国民は、納得しています。
これって、黒田先生が綱吉のインフレ政策で
物価も上がっているけど、給与も上がっているから、庶民は、困ってなかったというのと同じですよね。
しかも、綱吉は、年貢の率を下げました。
今でいう減税です。
もしかしたら、今の政府って、綱吉よりも、
ど素人かもしれませんね。
分かっていないというよりも、わざとやっているとしか…。
まさか国民をなめているとでも?