では、生類憐みの令によって数十万人の罪人を出したという話はどう説明できるのでしょうか。実は、これも真っ赤なウソなのです。
生類憐みの令によって処罰された例は、約20年間で69件に過ぎません。しかも、処罰の対象者のうち3分の2に当たる46件は下級武士であり、町人や農民よりもはるかに多くなっています。加えて69件のうち死罪になったのがわずか13件しかなく、流罪(るざい)も12件のみという、伝説を信じ込んできた人々には耳を疑いたくなる現実もあります。
さらに、生類憐みの令を勧めたとされる僧の隆光ですが、隆光が綱吉と面会したのは1686年ですから、それ以前の1685年に発布された生類憐みの令に関係しているはずがないですし、柳沢吉保もこの頃には身分が低く、政治に直接関係する立場ではありませんでした。従って、この二人もある意味「いわれなき罪」を着せられているといえます。
ここまで生類憐みの令に関する真実を追究してきましたが、それよりももっと重要なことに私たちは目を向けなければなりません。何だと思いますか?
それは、現代の私たちに当たり前のように備わっている「ある精神」です。




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