なお、御前会議において、ソ連への攻撃は情勢が有利になった場合に行うこととなり、独ソ開戦後に陸軍が満州などに約70万人の兵力を集結させた、関東軍特権演習と呼ばれた動員も8月に中止されましたが、この決定を誰よりも喜んだのが、東西の二方面から攻撃されるという危機が回避された、ソ連のスターリンであったことは言うまでもありません。
かくして、アメリカを牽制するために我が国が結んだはずの日独伊三国同盟や日ソ中立条約は、結果としてことごとく裏目に出てしまい、ソ連(=コミンテルン)のスパイであった尾崎秀実(おざきほつみ)らが強く主張していたとおりの南進論を選択してしまったことになります。
つまり、我が国はコミンテルンのスパイに操られるかたちで南進以外の選択肢を失ってしまったとも考えられるのです。そして、この選択は当然のようにアメリカを刺激し、先述した南部仏印進駐による対日石油禁輸など、我が国がますます追いつめられたのみならず、近衛内閣の崩壊を招くとともに、東條内閣の成立という歴史の流れをもたらしたのでした。
なお、近衛内閣の総辞職と前後して、我が国の特別高等警察(=特高)が、ソ連のスパイ組織が日本国内で諜報活動並びに謀略活動を行っていたとして、ゾルゲや尾崎秀実らを逮捕するという、いわゆる「ゾルゲ事件」が発覚しています。
※下記の映像は7月20日までの掲載分をまとめたものです。





いつも応援いただきまして、本当に有難うございます。
トラックバック(0) |
青田です。 黒田先生
青田です。
陸軍は、元々、ソ連を仮想敵国と考えていました。
だからこそ、満州はソ連への防衛ラインとして
重要だったわけです。
それにたいして、海軍は、予算をもらうために
アメリカを仮想敵国にしていました。
(本音は、違いますが)
ドラマ・映画などでは、海軍は、アメリカとの戦争回避論者の多い善玉、陸軍は、開戦派の悪玉と
描かれますが、
冷静に考えると陸軍のほうが、まともです。
この陸軍と海軍の考え方の違いも、少なからず、影響している気がします。
もうこの時には、仮想敵国まで、陸軍と海軍とでは、違っています。
(日露戦争時の陸軍と海軍の見事なまでの連携とは、雲泥の差です。)
青田さんへ
黒田裕樹 仰るとおりですね。
ネタバレになるので深くは言いませんが、陸軍と海軍の連携のなさは、統帥権干犯問題とも密接にかかわっています。
ぴーち こんばんは!
なるほど、結局戦争が起きてしまう動機というのは、他国の陰謀に簡単に導かれてしまう
自国のまとまりの無さと、戦況に対する無知さが
拍車を掛けてしまうという事でしょうか。
ぴーちさんへ
黒田裕樹 > なるほど、結局戦争が起きてしまう動機というのは、他国の陰謀に簡単に導かれてしまう
> 自国のまとまりの無さと、戦況に対する無知さが
> 拍車を掛けてしまうという事でしょうか。
そのとおりです。
裏を返せば「我が国が一方的に侵略した」という動機も当てはまらない、ということになりますね。
青田です。
陸軍は、元々、ソ連を仮想敵国と考えていました。
だからこそ、満州はソ連への防衛ラインとして
重要だったわけです。
それにたいして、海軍は、予算をもらうために
アメリカを仮想敵国にしていました。
(本音は、違いますが)
ドラマ・映画などでは、海軍は、アメリカとの戦争回避論者の多い善玉、陸軍は、開戦派の悪玉と
描かれますが、
冷静に考えると陸軍のほうが、まともです。
この陸軍と海軍の考え方の違いも、少なからず、影響している気がします。
もうこの時には、仮想敵国まで、陸軍と海軍とでは、違っています。
(日露戦争時の陸軍と海軍の見事なまでの連携とは、雲泥の差です。)
ネタバレになるので深くは言いませんが、陸軍と海軍の連携のなさは、統帥権干犯問題とも密接にかかわっています。
なるほど、結局戦争が起きてしまう動機というのは、他国の陰謀に簡単に導かれてしまう
自国のまとまりの無さと、戦況に対する無知さが
拍車を掛けてしまうという事でしょうか。
> 自国のまとまりの無さと、戦況に対する無知さが
> 拍車を掛けてしまうという事でしょうか。
そのとおりです。
裏を返せば「我が国が一方的に侵略した」という動機も当てはまらない、ということになりますね。