第2項 凡(すべ)テ法律勅令(ちょくれい)其ノ他国務ニ関(かか)ル詔勅(しょうちょく)ハ国務大臣ノ副署ヲ要ス
まず第1項ですが、輔弼とは補佐して助言することを意味しており、ここでは第5条と同じく「天皇の行政権は国務大臣(=内閣)の補佐や助言が必要である」と解釈すべきです。第2項において、天皇は勅令(=天皇からの命令)や詔勅(=天皇のお言葉を文章化したもの)を出すことが可能でしたが、これも大臣の副署(=署名のこと)が必要されており、実際に天皇が直接命令を出されても、後に大臣が署名しなければ効果がありませんでした。
つまり、行政権の責任は内閣にあり、天皇は内閣が決めた政治の進め方に署名(=サイン)されるのが主な職務でした。これも議会と同様、天皇の国事行為を定めた日本国憲法第7条と同じ意味を持っています。
ところで、明治憲法の条文には「国務大臣」という用語が見られる一方で、実は「内閣総理大臣」あるいは「内閣」の文字はありません。これは、憲法に内閣の文字を入れることで、総理大臣すなわち首相がかつての徳川幕府の将軍のように力を持ち、天皇を軽んじる可能性があることを、かつて幕府と命がけで戦った経験を持つ伊藤博文が恐れたからだという説があります。
いずれにせよ、憲法の条文上に「内閣」は存在しないという事実に変わりはなく、これが後々になって深刻な影響をもたらすことになるのです。
※下記の映像は3月12日までの掲載分をまとめたものです。





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ぴーち こんばんは!
内閣の言葉が無い事の意味はそんな理由が存在していたのですか。
それにしても、それを恐れたばかりに後々
に問題が生じて来るとは、その時には思いも寄らなかったのでしょうね。
何かに対して極度に恐れをなして、無きものとし遠ざけてしまうと確かに後からそれが元でまた違う問題が浮上してしまうことって、他の場面でも有ることですが、確かにその場はそれで何とか凌げても
付け焼き刃的な発想には厄介な後始末のおまけが付き物ですね(^_^;)
ぴーちさんへ
黒田裕樹 当初は当たり前と思ったことが、時代の流れと共に変化していくのはよくある話ですからね。明治憲法も、また日本国憲法も、必ず見直すべき時期があるはずなのですが。
内閣の言葉が無い事の意味はそんな理由が存在していたのですか。
それにしても、それを恐れたばかりに後々
に問題が生じて来るとは、その時には思いも寄らなかったのでしょうね。
何かに対して極度に恐れをなして、無きものとし遠ざけてしまうと確かに後からそれが元でまた違う問題が浮上してしまうことって、他の場面でも有ることですが、確かにその場はそれで何とか凌げても
付け焼き刃的な発想には厄介な後始末のおまけが付き物ですね(^_^;)