ここで問題になるのは「統治権の総攬」の解釈でしょう。総攬とはただ単に「とりまとめて持つ」という意味であり、これを「我が手に握って実権を持つ」と解釈するのは強引過ぎます。しかも「此ノ憲法ノ条規ニ依リテ」と書かれているように、仮に実権を握っていると解釈できたとしても、天皇ご自身も憲法の規定に従わなければならないと明記されているのです。
では、天皇といえども従わなければならない「憲法の規定」にはどのようなものがあるのでしょうか。
第5条 天皇ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行フ
従来は「議会は天皇を助ける機関に過ぎない」と教えられてきました。しかし、協賛とは「賛成して協力する」という意味ですから、条文を素直に読めば「天皇が立法権を行うには議会の賛成や協力が必要である」という解釈となり、天皇が勝手に立法権を行使することは憲法上許されていない、という意味になります。
その後の歴史を見ても、憲法制定後に立法権を実際に行使したのは議会であり、天皇は議会が決めた法律や予算に署名(=サイン)されるのが主な職務でした。これは、天皇の国事行為について定めた日本国憲法第7条と同様の意味を持ちます。
※下記の映像は3月12日までの掲載分をまとめたものです。





いつも応援いただきまして、本当に有難うございます。
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ぴーち こんばんは!
確かに
現代でも、国会で決議された法案に対して
最終的に天皇陛下が受理されている場面を目に致します。仰るとおり、天皇が実権を握って采配したという事実は聞いた事が有りません。(私が知らないだけかも知れませんが)
ぴーちさんへ
黒田裕樹 明治憲法下において、天皇が直接政治的判断をなされたのは、昭和11年の2・26事件と、昭和20年の終戦のご聖断のみであり、しかも、その後に内閣の承認を得ています。
一般の方ならともかく、歴史教育に携わる者であれば、当然に理解できていることですが…。
確かに
現代でも、国会で決議された法案に対して
最終的に天皇陛下が受理されている場面を目に致します。仰るとおり、天皇が実権を握って采配したという事実は聞いた事が有りません。(私が知らないだけかも知れませんが)
一般の方ならともかく、歴史教育に携わる者であれば、当然に理解できていることですが…。