皇族以外で初の摂政になったのが藤原良房であり、我が国で初めて関白になったのが藤原基経です。摂政も関白も天皇の代わりに政治を行うことに変わりはありませんが、摂政が主に天皇の幼少時に代わって政治を行うのに対して、天皇の成人後に政治を代行するのが関白です。両者は非常に紛らわしいので注意して下さい。
さて、藤原基経は光孝天皇の子である宇多天皇(うだてんのう)が887年に第59代天皇としてご即位された際に正式に関白に任命されましたが、宇多天皇が基経に出された勅書(ちょくしょ、天皇からの命令書のこと)に、「基経を阿衡(あこう)に任ずる」と書いてあったことから、大問題になってしまいました。
「阿衡」とは中国の古典から引用したものでしたが、基経は「『阿衡』という言葉には地位はあっても実職が伴っていないから、その意味どおりに今後は一切政治を行わない」と宣言して朝廷への出仕をやめてしまったのです。驚かれた宇多天皇は基経を説得されましたが、基経は首を縦に振ろうとしませんでした。
基経の不出仕により政治の混乱が生じてしまったことで心痛された宇多天皇は、勅書を起草(きそう、原案を書くこと)した橘広相(たちばなのひろみ)を失脚させることでようやく事態を収拾されました。この事件は阿衡の紛議(ふんぎ)と呼ばれ、基経は自己の権力の強さを宇多天皇に知らしめたのでした。




いつも有難うございます。
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えめる 基経はツンデレっ?!
と思ってしまったのニャ(^ω^;
えめるさんへ
黒田裕樹 > 基経はツンデレっ?!
> と思ってしまったのニャ(^ω^;
なるほど、言われてみればそう受け取れますね(^^ゞ
実際には基経が宇多天皇に対して「黙って俺の言うことに従え」という無言の圧力だったかもしれませんが。でも宇多天皇も「やられっぱなし」というわけではないんですよ。そのあたりは次回の更新で…。
ぴーち こんばんは!
摂政は、確か聖徳太子もでしたよね!
(唯一、この方しか知らないと言う^^;)
関白と言えば、豊臣秀吉かしら。。
有名人ばかりしか知らなくって、ごめんなさい^^;
応援凸
ぴーちさんへ
黒田裕樹 > 摂政は、確か聖徳太子もでしたよね!
> (唯一、この方しか知らないと言う^^;)
> 関白と言えば、豊臣秀吉かしら。。
> 有名人ばかりしか知らなくって、ごめんなさい^^;
摂政と関白で有名な人々ですよね。平安時代は藤原氏ばかりが摂政・関白に就任していますよ。
これからしばらくの間は出てくることになりますが、おそらくぴーちさんがお聞きになった人々も登場すると思いますので、楽しみに待っていて下さいね(^o^)丿
オバrev 基経って、方光寺の鐘の文言にケチをつけた家康みたいですね。やり手だろうけど、嫌な奴(`Д´)
目的は、ライバルである?橘広相を失脚させて、自分が権力をにぎるためですか??
宇多天皇も「あっそう、仕事しないなら君はもう出廷しなくていいよ。関白は橘君にやってもらうからね。」と言えなかったんだろうか。
オバrevさんへ
黒田裕樹 > 基経って、方光寺の鐘の文言にケチをつけた家康みたいですね。やり手だろうけど、嫌な奴(`Д´)
「言いがかり」という点ではよく似ていますよね。「阿衡」の解釈の仕方が気に入らないなんて、子供じゃないんだから…。
> 目的は、ライバルである?橘広相を失脚させて、自分が権力をにぎるためですか??
直接の証拠はありませんが、そう考えて差し支えないでしょう。同時に宇多天皇への「圧力」にもなったと思われます。
> 宇多天皇も「あっそう、仕事しないなら君はもう出廷しなくていいよ。関白は橘君にやってもらうからね。」と言えなかったんだろうか。
藤原氏の皇室への食い込み方が尋常ではありませんから、切りたくても切れなかったのでしょう。もっとも、この後で宇多天皇による「逆襲」が始まります。
アキ がっ!
も、もう藤原の名が!(結構この時代から興味アリ)
普段は毎日更新されていると、楽しみ!と嬉々としてお邪魔していましたが、
今回のようにしばらくお邪魔できない日が続くと、進むスピードについていけず
『そんな毎日更新しないで~』
と思ってしまう・・・人間とはなんとも勝手なものでございます(オマエだけだよ)
これからじっくり過去ログ拝読いたします♪
アキさんへ
黒田裕樹 > がっ!
> も、もう藤原の名が!(結構この時代から興味アリ)
そうです、もう藤原氏ですよ(笑)。まぁ本格的な摂関政治はまだ先の話(11世紀)ですが…。
> 普段は毎日更新されていると、楽しみ!と嬉々としてお邪魔していましたが、
> 今回のようにしばらくお邪魔できない日が続くと、進むスピードについていけず
> 『そんな毎日更新しないで~』
> と思ってしまう・・・人間とはなんとも勝手なものでございます(オマエだけだよ)
いえいえ、その気持ちはよく分かります。俗にいう「浦島太郎」状態ですからね(笑)。
私もそれが嫌ですから、わざわざネカフェまで出張することがありますし(^^ゞ
> これからじっくり過去ログ拝読いたします♪
はい、どうぞごゆっくりご覧下さい(^o^)丿
過去記事でのコメントも歓迎しますよ♪
「摂政基経」
徳薙零己 お久しぶりです。
弊ブログ「いささめ」にて、2作品を並行して後悔しております。
一つは、応天門の変から藤原基経が摂政となり陽成天皇が元服するまでを描く「摂政基経」。
もう一つは、マンガを使っての平安時代の解説です。
「摂政基経」で取り上げる時代は、「藤原北家の台頭 その4」の冒頭2行だけという狭い時代ですが、当時の歴史書を紐解いてみますと結構面白いことが色々と出てきました。
恒例により、今回の作品も原稿用紙500枚超という長編となっておりますが、よろしければお立ち寄り願います。
徳薙零己さんへ
黒田裕樹 ご無沙汰しております。
貴ブログは拝見しておりますよ。京子先生の漫画は楽しいですが、時々身につまされる話もあります(笑)。
長編物語の執筆、いつもお疲れ様です。通史をまんべんなく紹介するのも重要ですが、一つの時代を深く掘り下げる作業はもっと大切だと思います。
と思ってしまったのニャ(^ω^;
> と思ってしまったのニャ(^ω^;
なるほど、言われてみればそう受け取れますね(^^ゞ
実際には基経が宇多天皇に対して「黙って俺の言うことに従え」という無言の圧力だったかもしれませんが。でも宇多天皇も「やられっぱなし」というわけではないんですよ。そのあたりは次回の更新で…。
摂政は、確か聖徳太子もでしたよね!
(唯一、この方しか知らないと言う^^;)
関白と言えば、豊臣秀吉かしら。。
有名人ばかりしか知らなくって、ごめんなさい^^;
応援凸
> (唯一、この方しか知らないと言う^^;)
> 関白と言えば、豊臣秀吉かしら。。
> 有名人ばかりしか知らなくって、ごめんなさい^^;
摂政と関白で有名な人々ですよね。平安時代は藤原氏ばかりが摂政・関白に就任していますよ。
これからしばらくの間は出てくることになりますが、おそらくぴーちさんがお聞きになった人々も登場すると思いますので、楽しみに待っていて下さいね(^o^)丿
目的は、ライバルである?橘広相を失脚させて、自分が権力をにぎるためですか??
宇多天皇も「あっそう、仕事しないなら君はもう出廷しなくていいよ。関白は橘君にやってもらうからね。」と言えなかったんだろうか。
「言いがかり」という点ではよく似ていますよね。「阿衡」の解釈の仕方が気に入らないなんて、子供じゃないんだから…。
> 目的は、ライバルである?橘広相を失脚させて、自分が権力をにぎるためですか??
直接の証拠はありませんが、そう考えて差し支えないでしょう。同時に宇多天皇への「圧力」にもなったと思われます。
> 宇多天皇も「あっそう、仕事しないなら君はもう出廷しなくていいよ。関白は橘君にやってもらうからね。」と言えなかったんだろうか。
藤原氏の皇室への食い込み方が尋常ではありませんから、切りたくても切れなかったのでしょう。もっとも、この後で宇多天皇による「逆襲」が始まります。
も、もう藤原の名が!(結構この時代から興味アリ)
普段は毎日更新されていると、楽しみ!と嬉々としてお邪魔していましたが、
今回のようにしばらくお邪魔できない日が続くと、進むスピードについていけず
『そんな毎日更新しないで~』
と思ってしまう・・・人間とはなんとも勝手なものでございます(オマエだけだよ)
これからじっくり過去ログ拝読いたします♪
> も、もう藤原の名が!(結構この時代から興味アリ)
そうです、もう藤原氏ですよ(笑)。まぁ本格的な摂関政治はまだ先の話(11世紀)ですが…。
> 普段は毎日更新されていると、楽しみ!と嬉々としてお邪魔していましたが、
> 今回のようにしばらくお邪魔できない日が続くと、進むスピードについていけず
> 『そんな毎日更新しないで~』
> と思ってしまう・・・人間とはなんとも勝手なものでございます(オマエだけだよ)
いえいえ、その気持ちはよく分かります。俗にいう「浦島太郎」状態ですからね(笑)。
私もそれが嫌ですから、わざわざネカフェまで出張することがありますし(^^ゞ
> これからじっくり過去ログ拝読いたします♪
はい、どうぞごゆっくりご覧下さい(^o^)丿
過去記事でのコメントも歓迎しますよ♪
弊ブログ「いささめ」にて、2作品を並行して後悔しております。
一つは、応天門の変から藤原基経が摂政となり陽成天皇が元服するまでを描く「摂政基経」。
もう一つは、マンガを使っての平安時代の解説です。
「摂政基経」で取り上げる時代は、「藤原北家の台頭 その4」の冒頭2行だけという狭い時代ですが、当時の歴史書を紐解いてみますと結構面白いことが色々と出てきました。
恒例により、今回の作品も原稿用紙500枚超という長編となっておりますが、よろしければお立ち寄り願います。
貴ブログは拝見しておりますよ。京子先生の漫画は楽しいですが、時々身につまされる話もあります(笑)。
長編物語の執筆、いつもお疲れ様です。通史をまんべんなく紹介するのも重要ですが、一つの時代を深く掘り下げる作業はもっと大切だと思います。