それに、称徳天皇が崩御された後に道鏡は下野国に追放されていますが、もし彼が称徳天皇と愛人関係になっていれば、ここぞとばかりに戒律を破った罪で彼の僧籍を剥奪(はくだつ)するか、場合によっては殺害されてもおかしくないのに、現実には彼は僧のままこの世を去っているのです。
また、以前に書いたように「道鏡が天皇になろうとした」のではなく、「称徳天皇が道鏡を天皇後継に指名された」のが正しい表現ですし、その称徳天皇の場合にしても、もし男性と深い関係におちいるような女性であれば、当時の我が国の風潮として、いかに実力があっても称徳天皇として重祚(ちょうそ)されることや、寺社を除く墾田の私有を禁止するという思い切った政治などを許すことはなかったでしょう。
ではなぜ後世にこのような「伝説」が残されてしまったのでしょうか?
考えられる理由のひとつは、称徳天皇と道鏡が「藤原氏に対抗する勢力」であったことです。時代の勝者となった藤原氏にとって、仏教勢力を背景に墾田の私有を禁じた政治を行った二人は「敵」であり、悪役として印象付けるために二人の間に「そういう関係」があることを暗示したのがきっかけと推定されています。
歴史は正しく残されるのが大前提ですが、時代の勝者によって筆が書き換えられることは、現代でもよくある話です。私たちは歴史を学ぶ際に、当時の背景や勢力争いなどに加えて、歴史の大きな流れを慎重に見極めながら、真実を導き出していきたいものですね。




いつも有難うございます。
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さすらい こんにちは。
なるほど、そうですよ。
正しい歴史認識こそが
人類発展の糧になるものですよね。
単純に「本当のことが知りたい」だけなんですがね。
応援♪
さすらいさんへ
黒田裕樹 まさしく仰るとおりです。
架空の物語ならともかく、我々は歴史の真実を知りたいのですから。
いい加減な捏造で、我々ばかりでなく子孫にも悪影響をもたらすのは勘弁願いたいものです。
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えめる 素直な子ども達、もちろん大人も、書かれている事を真実だと思ってしまうものです。
過去の陰謀を暴くと、いろんなことが覆されそうですね。
MAHHYA 私も、「歴史は勝者が作るもの」と、いつも感じています。
なるほど、藤原の対抗勢力だったからですね、
納得です!
えめるさんへ
黒田裕樹 「勝者による歴史」が真実を伝えているとは限りませんからね(むしろ逆かも)。
今回の道鏡のような陰謀が、他の歴史にも隠されている可能性は十分にあります(特に近現代史には要注意です)。
MAHHYAさんへ
黒田裕樹 いわゆる「藤原史観」からみると、道鏡は「とんでもない奴」ですからね。
ただ、ウワサは所詮ウワサです。今回のように公平かつ冷静に考えれば、有り得ないことだとすぐに分かります。
歴史を学ぶことは、だまされないように(?)慎重な姿勢を身に付けることでもあるのかもしれません。
なるほど、そうですよ。
正しい歴史認識こそが
人類発展の糧になるものですよね。
単純に「本当のことが知りたい」だけなんですがね。
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架空の物語ならともかく、我々は歴史の真実を知りたいのですから。
いい加減な捏造で、我々ばかりでなく子孫にも悪影響をもたらすのは勘弁願いたいものです。
過去の陰謀を暴くと、いろんなことが覆されそうですね。
なるほど、藤原の対抗勢力だったからですね、
納得です!
今回の道鏡のような陰謀が、他の歴史にも隠されている可能性は十分にあります(特に近現代史には要注意です)。
ただ、ウワサは所詮ウワサです。今回のように公平かつ冷静に考えれば、有り得ないことだとすぐに分かります。
歴史を学ぶことは、だまされないように(?)慎重な姿勢を身に付けることでもあるのかもしれません。