方谷は自ら学んだ砲術(ほうじゅつ)をもとに大砲を鋳造(ちゅうぞう)して洋式兵術を導入したほか、嘉永5(1852)年には領内の庄屋(しょうや)の家の壮健(そうけん)な若者を選んで銃(じゅう)と剣を学ばせ、帯刀(たいとう)を許して「里正隊(りせいたい)」という農兵制を組織しました。
方谷は里正隊の教育や指導に力を注いだほか、領内の漁師や一般農民の中からも壮健な者を集めて西洋式の砲術や銃の訓練を行い、国境の防備の一部を担当させました。陽明学という実践に重きを置く学問を究めた方谷ならではの柔軟(じゅうなん)な発想が生み出した軍制改革といえるでしょう。
これらの方谷による藩を挙げた財政改革が実を結び、備中松山藩は改革の開始からわずか7年後の安政(あんせい)4年(=1857年)頃には10万両あった借財をすべて返済して、逆に10万両の蓄財を成し遂げたのみならず、実質2万石にも満たなかった藩の収入は20万石にも匹敵(ひってき)するといわれるようになり、領内の治安の良さや領民の安定した生活と教育の振興ぶりは、他藩からの旅行者がうらやむほどとなりました。
方谷による藩政の改革は、歴史的にも稀(まれ)に見る素晴(すば)らしい成果を上げたのです。





いつも応援いただきまして、本当に有難うございます。
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ぴーち おはようございます!
ペリー来航という思っても見なかった事態が
起こった事をキッカケに直ぐに次なる方策を
考え、行動に起こしていく所がまた見事ですね。
国防の為の軍備の発端は、方谷氏の提案だったとは。
それまでの経験の豊かさ、または引き出しの多さに改めて感心させられますね!
それもきっとそれまでの人生、人の話を良く聞き、または自身でも沢山の書物を読み
様々な経験をしてきた賜物だったのでしょうね。
応援凸
ぴーちさんへ
黒田裕樹 仰るとおりです。
山田方谷の器量の大きさには今さらながら驚くばかりですね。
大砲の鋳造
鹿児島のタク 黒田先生
「方谷は自ら学んだ砲術(ほうじゅつ)をもとに大砲を鋳造…」…すごいですね。
大砲を鋳造するには,一般的には反射炉が必要だと思うのですが,私の地元の鹿児島では反射炉跡が残っています。反射炉を作ったのは,薩摩藩と肥前鍋島藩くらいかなと思っていました。
薩摩も肥前も大藩ですが…
それを方谷さんたちがやったのはすごいですね。
陽明学について
鹿児島のタク 黒田先生
陽明学と言えば,「知行合一」ですね。
私は,と言うか多くの人がそうだと思うのですが,大塩平八郎のことを思い出します。
陽明学は,その要素が孔子の儒学に見えていると思いますが,…現代社会に生きる我々が日々の日常の中で,陽明学的な活動をしようとすると,浮いて見えたり,批判を浴びたり,命がけになったりするような気がします。
人間は,「妥協」しながら生きていかねばならないのでしょうが,大事なところで「知行合一」ができるといいでしょうね。
鹿児島のタクさんへ
黒田裕樹 仰るとおり、大砲を鋳造しようと思えばそれまでの準備も大変ですからね。
方谷だからこそできたとも言えそうです。
鹿児島のタクさんへ
黒田裕樹 大塩平八郎が反乱を起こし、結果として大坂が火の海と化しても誰もが大塩の悪口を言わなかったという事実が「知行合一」の大切さを間接的に証明していますね。
行動力あっての指導力とも言えそうです。
ペリー来航という思っても見なかった事態が
起こった事をキッカケに直ぐに次なる方策を
考え、行動に起こしていく所がまた見事ですね。
国防の為の軍備の発端は、方谷氏の提案だったとは。
それまでの経験の豊かさ、または引き出しの多さに改めて感心させられますね!
それもきっとそれまでの人生、人の話を良く聞き、または自身でも沢山の書物を読み
様々な経験をしてきた賜物だったのでしょうね。
応援凸
山田方谷の器量の大きさには今さらながら驚くばかりですね。
「方谷は自ら学んだ砲術(ほうじゅつ)をもとに大砲を鋳造…」…すごいですね。
大砲を鋳造するには,一般的には反射炉が必要だと思うのですが,私の地元の鹿児島では反射炉跡が残っています。反射炉を作ったのは,薩摩藩と肥前鍋島藩くらいかなと思っていました。
薩摩も肥前も大藩ですが…
それを方谷さんたちがやったのはすごいですね。
陽明学と言えば,「知行合一」ですね。
私は,と言うか多くの人がそうだと思うのですが,大塩平八郎のことを思い出します。
陽明学は,その要素が孔子の儒学に見えていると思いますが,…現代社会に生きる我々が日々の日常の中で,陽明学的な活動をしようとすると,浮いて見えたり,批判を浴びたり,命がけになったりするような気がします。
人間は,「妥協」しながら生きていかねばならないのでしょうが,大事なところで「知行合一」ができるといいでしょうね。
方谷だからこそできたとも言えそうです。
行動力あっての指導力とも言えそうです。