それは「天子」という言葉です。天子とは中国では皇帝、我が国では天皇を意味する君主(くんしゅ)の称号(しょうごう)ですが、煬帝は自国よりも格下(かくした)である(と思っていた)我が国がこの言葉を使ってくるとは予想もしていなかったのです。なぜなら、中国の考えでは「皇帝」は世界で一人しか存在してはいけないことになっているからです。
今から2200年以上前に中国大陸を史上初めて統一した秦(しん)の王であった政(せい)は、各地の王を支配する唯一(ゆいいつ)の存在として「皇帝」という称号の使用を始め、自らは最初の皇帝ということで「始皇帝(しこうてい)」と名乗り、後にこれが慣例(かんれい)となって中国大陸では支配者が変わるたびに自らを「皇帝」と称し、各地の有力者を「王」に任命するという形式が完成しました。
そしてこの構図(こうず)はやがて大陸周辺の諸外国にも強制させることになり、我が国においても中国皇帝の臣下(しんか)となって許してもらうようにお願いするという朝貢外交(ちょうこうがいこう)を行わざるを得なくなったのですが、独立国である我が国、そして朝廷にとってこんな屈辱的(くつじょくてき)な話はありません。
聖徳太子は中国大陸に隋という新たな支配者が誕生したのを機会に、これまでとは違(ちが)う態度(たいど)によって、すなわち「『皇帝→天皇』と名乗れるのは我が国も同じだ」という強い意思で、対等な関係の外交に臨(のぞ)む姿勢を「天子」という言葉に示したのでした。





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ぴーち おはようございます!
聖徳太子とあろう方がわざわざ
相手国の怒りを買うような言葉を
投げ掛けたのは、どういうものかと
思いましたら、そこには太子の思惑が
込められていたわけですね。
何もかも承知の上での意図的な戦略。
その後の展開も楽しみです♪
応援凸
ぴーちさんへ
黒田裕樹 仰るとおり、聖徳太子は何もかも承知のうえで思惑があって「天子」という言葉を使用しています。
そのあたりの詳しい事情についてはこれから説明していきますね。
オバrev この自分が一番偉い!という認識のDNAが中国には引き継がれているんじゃないでしょうか?
現在の傲慢な態度をみると、長い歴史に培われた価値観のような気がしますけど(;・∀・)
オバrevさんへ
黒田裕樹 根底にあるのが「中華思想」ですからね。
「自分こそ一番だ!」という発想そのものですが、逆に言えばそう思わないとやってられなかったのかもしれません。
聖徳太子とあろう方がわざわざ
相手国の怒りを買うような言葉を
投げ掛けたのは、どういうものかと
思いましたら、そこには太子の思惑が
込められていたわけですね。
何もかも承知の上での意図的な戦略。
その後の展開も楽しみです♪
応援凸
そのあたりの詳しい事情についてはこれから説明していきますね。
現在の傲慢な態度をみると、長い歴史に培われた価値観のような気がしますけど(;・∀・)
「自分こそ一番だ!」という発想そのものですが、逆に言えばそう思わないとやってられなかったのかもしれません。