モリソン号という名のその船は日本人の漂流民数名を乗せており、彼らを帰還(きかん)させるとともに通商などを平和的に求めるために我が国にやって来たのですが、幕府はそんなモリソン号に対して異国船打払令を理由に一方的に砲撃(ほうげき)を行いました。
あわや轟沈(ごうちん)されかねないという恐怖を味わったモリソン号は、通商はおろか漂流民の引き渡しもできずに這(ほ)う這(ほ)うの体(てい)で我が国から去っていきました。この騒(さわ)ぎはモリソン号事件と呼ばれています。
幕府によるこのような信じがたい暴挙(ぼうきょ)に対して、尚歯会(しょうしかい)に所属していた蘭学者(らんがくしゃ)の渡辺崋山(わたなべかざん)は慎機論(しんきろん)を、高野長英(たかのちょうえい)は戊戌夢物語(ぼじゅつゆめものがたり)をそれぞれ書いて批判しましたが、1839年に幕府によって弾圧(だんあつ)されてしまいました。
この事件を蛮社の獄(ばんしゃのごく)といいますが、蛮社という言葉には蘭学(らんがく)を「野蛮(やばん)な結社(けっしゃ)」と一方的に断じるという偏見(へんけん)の意味が込められていました。そして、事件を指揮した人物こそが、後に南町奉行(みなみまちぶぎょう)として天保の改革(てんぽうのかいかく)の際に暗躍(あんやく)することになる鳥居耀蔵(とりいようぞう)だったのです。
(※下線を引いた事例については、リンク先もご参照下さい)




いつも有難うございます。
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ぴーち こんにちは!
異国船打払令とは、外国船であれば何人たりとも日本に近づくものがあれば、爆撃せよという無謀な法律だったのですか?!
応援凸
ぴーちさんへ
黒田裕樹 異国船打払令は我が国と交易のあるオランダや清以外の外国船であれば問答無用で打ち払うというとんでもないものでした。我が国に危害を加えるならまだしも、漂流民を返還するなど平和的に、ましてや軍艦でない商船まで攻撃するというのはあまりにも常軌を逸していると言わざるを得ないでしょう。
渡辺崋山や高野長英のように幕府のやり方に不満を持つのは当然だと思います。
オバrev 一連の幕末の騒動を読んでいると、国際的な情報を持たないまま、また忠告に耳を傾けるという姿勢もなかったことがよく分かります。
今回の東日本大震災が起きてからの管政権のいいかげんで場当たり的な対応とダブって見えてしまいました(*_*;
一番的確な情報を持っているのはやはり米国なんでしょうね。日米同盟を軽視した、鳩・管政権のツケもあったような気がします。
オバrevさんへ
黒田裕樹 他の皆様もご指摘されておられるように、今の政治の混迷に似すぎていることが私には気がかりです(´・ω・`)
「賢者は歴史に学ぶ」といいますから、江戸幕府の失政を大いに参考すべきなのですが、このままでは「第二の幕末」といった大混乱の世となることも予想できそうで恐ろしいですね。
異国船打払令とは、外国船であれば何人たりとも日本に近づくものがあれば、爆撃せよという無謀な法律だったのですか?!
応援凸
渡辺崋山や高野長英のように幕府のやり方に不満を持つのは当然だと思います。
今回の東日本大震災が起きてからの管政権のいいかげんで場当たり的な対応とダブって見えてしまいました(*_*;
一番的確な情報を持っているのはやはり米国なんでしょうね。日米同盟を軽視した、鳩・管政権のツケもあったような気がします。
「賢者は歴史に学ぶ」といいますから、江戸幕府の失政を大いに参考すべきなのですが、このままでは「第二の幕末」といった大混乱の世となることも予想できそうで恐ろしいですね。