しかし、もし当時の我が国の工業力などが不足していれば、アメリカ軍を中心とした巨額な発注を到底受けいれることはできなかったでしょう。逆に言えば、戦争という悲劇を経験してもなお高い水準を保っていた我が国の生産力が、特需景気を支えるとともに我が国の経済を復興させたとも言えるのです。
この他、当時の吉田茂(よしだしげる)首相がアメリカのダレスからの再軍備の要請を断ったことも、戦争によって生産を支える人手を失ったり、あるいは経済に多大な負担を強いる軍備によって復興が遅れたりすることを防いだとも考えられますし、また朝鮮戦争そのものは昭和28(1953)年に休戦となりましたが、アメリカの沖縄基地建設に関する需要などによって、特需景気はその後も長期間にわたって続いています。
いずれにせよ、敗戦後の混乱の中で国際競争力に乏(とぼ)しかった我が国の産業に対して、特需景気が巨大な外需をもたらし、日本経済の発展を促(うなが)す基盤(きばん)となったことは間違いないでしょう。
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