奈良時代には美術面においても唐の様式を受容して大いに発達し、多くの美術作品がつくられました。建築面では寺院や宮殿に礎石(そせき)や瓦(かわら)が用いられるなどの技術の進歩によって、東大寺法華堂(とうだいじほっけどう)や唐招提寺金堂(とうしょうだいじこんどう)などの壮大な建物が建てられました。
彫刻では、表情豊かで調和の取れたものや、写実的ながらも宗教的な雰囲気をかもし出すものが多く造られました。造像(ぞうぞう)の技術も発達し、従来の金銅像(こんどうぞう)や木像のほかに、木を芯(しん)として粘土を塗り固めた塑像(そぞう)や、原型の上に麻布(あさぬの)を漆(うるし)で塗り固めた後に原型を抜き取るなどの技法を用いた乾漆像(かんしつぞう)が用いられました。
塑像には東大寺法華堂の日光・月光菩薩像(にっこう・がっこうぼさつぞう)が、乾漆像には興福寺(こうふくじ)の阿修羅像(あしゅらぞう)や唐招提寺の鑑真和上像(がんじんわじょうぞう)があり、中でも鑑真和上像は先述のとおり我が国最初の肖像(しょうぞう)彫刻として有名です。
絵画も唐の影響を強く受けており、聖武天皇の時代の宝物(ほうもつ)が寄進された東大寺の正倉院(しょうそういん)に伝わる鳥毛立女屏風(ちょうもうりゅうじょびょうぶ、または「とりげりつじょのびょうぶ」)や、薬師寺(やくしじ)の吉祥天女像(きちじょうてんにょぞう)が有名です。
また、三角材を横に組んだ校倉造(あぜくらづくり)で建築された正倉院には多数の宝物が完全な状態で今日まで伝えられており、螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)や漆胡瓶(しっこへい)などの工芸品の様式や製作技術には、唐のみならずペルシアやローマなどの要素が取り入れられています。
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