確かに「地主の廃止」は小作人を喜ばせて裕福にしましたから、貧者による「共産革命」が起きずに済んだのかもしれません。しかし、長い目で歴史を見れば、全国の大地主を没落させるとともに、小作人をいわゆる「敗戦利得者」とした「マイナス面」の方が、はるかに大きいとも考えられるのです。
欧米からの侵略を防ぐため、近代国家の建設を進めた我が国では、明治期を中心に全国の至るところに速やかに鉄道網を敷(し)きましたが、こうした芸当が可能だったのは、戦前の大地主との話さえつければ、土地を入手することが容易だったからでした。
戦前の大地主は「国家のために貢献する」という考えが多く、儲(もう)けを考えずに政府に土地を提供する人々がたくさんいたため、土地の売買がそれほど大きな問題にはなりませんでした。
しかし、これが戦後になると、農地改革の恩恵で地主となった元小作農の多くが「目先の利益」にこだわり、まるで「ゴネ得」のように土地問題が絡(から)むことで、国家にとって重要な改革がなかなか進まないという弊害(へいがい)をもたらしたのです。
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