当時の世界全体が「自国の経済安定のためには他国を顧(かえり)みる余裕はない」という流れだったこともあり、やがて日本国内から「アメリカやイギリスを見習って、我が国だけの自給自足圏(けん)をつくる以外に生き残る術(すべ)はない」という声が挙がるのは、むしろ当然だともいえました。
こうした考えが、当時我が国が権益を持っていた満州(現在の中国東北部)を自給自足の、すなわち我が国が他国からの干渉を受けずに統治するという発想に至り、ドイツと共に第二次世界大戦への遠因の一つとなるのですが、そもそもアメリカやイギリスなどがブロック経済を行わなければ、日独両国がここまで追いつめられることがなかったのも事実でした。
いずれにせよ、英米を中心とするブロック経済体制は、共産主義という全く異なる経済体制であったために大きな影響を受けなかったソ連も含めて世界の構図を大きく変えましたが、そんな中での当時の我が国による内政や外交の動きが、世界全体にさらなる影響をもたらすようになるのです。
なお、平成27(2015)年8月14日に安倍晋三(あべしんぞう)首相(当時)が「戦後70年における談話(=安倍談話)」を閣議決定のうえ発表しましたが、その中間あたりで「植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない」と述べる一方で、終盤では「経済のブロック化が紛争の芽を育てた過去を、この胸に刻み続けます」と表明しました。20世紀に二つの世界大戦を生み出した「植民地支配」や「ブロック経済」など、世界史レベルの事実も取り入れるといった談話のロジックの巧(たく)みさには、ただただ敬服するばかりです。
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