田中内閣の大蔵大臣となった高橋是清(たかはしこれきよ)は、手形の決済や預金の払い戻しなどを一時的に猶予する支払猶予令(しはらいゆうよれい、別名を「モラトリアム」)を出すための緊急勅令を直ちに枢密院に諮問(しもん、意見を求めること)しました。
今度は枢密院も勅令を許可して3週間のモラトリアムが発せられると、高橋蔵相が日本銀行に巨額の特別融資を行わせたことで、金融恐慌はようやく収拾へ向かいました。
ちなみに、日本銀行は特別融資のために急きょ大量の200円札を発行しましたが、余りに巨額であったために準備が間に合わず、裏面が白紙のままでした。なお、休業した台湾銀行についても議会で審議され、2億円の救済法案が成立して再建されています。
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鈴木商店の倒産は、同社に巨額の金銭を貸し付けていた台湾銀行が資金繰りに苦しむようになるなど深刻な影響を与えましたが、他の中小銀行と違って台湾における紙幣発行権を持っていた特殊銀行である台湾銀行がもし休業の憂き目を見れば、治まりかけていた金融恐慌がさらに広がりを見せるようになるのは必至でした。
慌(あわ)てた政府は緊急勅令(ちょくれい)によって台湾銀行を救済しようと考え、枢密院(すうみついん)に働きかけましたが、これを第一次若槻内閣打倒の好機と見た立憲政友会が枢密院に働きかけて議案を否決させました。
議案を否決された第一次若槻内閣は総辞職し、また台湾銀行は休業に追い込まれ、その結果として金融恐慌が最高潮に達してしまったのです。
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しかし、当日の決済を終えていた東京渡辺銀行は、現実には破綻していなかったのです。にもかかわらず、議会において「破綻した」と口走ったのは、片岡蔵相による「痛恨の失言」以外の何物でもありませんでした。
かくして、大蔵大臣に「破綻」を宣告された東京渡辺銀行に預金者が引き出しに詰めかけたことで、翌日には「本当に休業に追い込まれた」だけでなく、東京渡辺銀行の破綻を不安に思った人々が他の中小銀行にも預金引き出しに殺到するという「取り付け騒ぎ」を起こしたため、他の銀行も連鎖反応のように次々と休業を余儀(よぎ)なくされてしまいました。
これらの動きは、今日では「金融恐慌(きんゆうきょうこう)」と呼ばれています。政府は日本銀行による非常貸し出しでこの騒ぎを何とか沈めましたが、金融恐慌の流れは「別の大手銀行」の経営破綻によって、さらに拍車をかけることになってしまうのです。
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次官は大蔵大臣の片岡直温(かたおかなおはる)に対応を相談しようとしましたが、議会で審議中のため面会できず、事情を書面に記して蔵相に言付(ことづ)けました。
一方、大蔵省からの助力が得られないと判断した東京渡辺銀行は改めて金策に走り、別の銀行の資金援助を受けて辛うじて決済を行い、その旨(むね)を大蔵省に伝えようとしましたが、担当の次官が不在ですぐには連絡できませんでした。
その頃、片岡蔵相は議会から厳しい追及を受けていましたが、そんな折に次官から書面で「東京渡辺銀行休業」の報告を受けた蔵相は、追及をかわしたい一心からつい口走ってしまいました。
「東京渡辺銀行がとうとう破綻(はたん)を致しました」。
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大正15(1926)年12月25日、かねてより病気療養中であられた大正天皇が47歳で崩御(ほうぎょ、天皇・皇后・皇太后・太皇太后がお亡くなりになること)されました。深いお悲しみの中、摂政宮(せっしょうのみや)で皇太子の裕仁(ひろひと)親王が直ちに践祚(せんそ、皇位の継承のこと)されて第124代天皇(=昭和天皇)となられ、元号も「昭和」と改められました。
こうして始まった昭和時代でしたが、いきなり大きな試練を迎えることになってしまいました。大正12(1923)年に発生した関東大震災によって多額の民間手形が支払い不能となった際に、災害地を支払地とする手形を政府が信用保証して支払いを延長させました。
しかし、それらは問題の先延ばしに過ぎず、支払いの猶予(ゆうよ)が昭和2(1927)年で切れることから、政府はその整理に着手することになりました。なお、当時の内閣は病死した加藤高明(かとうたかあき)にかわって成立した、憲政会を与党とする第一次若槻礼次郎(わかつきれいじろう)内閣でした。
いわゆる「震災手形」を整理するため、新たに公債を発行しようと考えた第一次若槻内閣は、そのための法案を議会に提出しましたが、議会では銀行の放漫な貸し出しが今回の事態を招いたなどという非難の声が挙がり、なかなか前へ進みません。そうこうしているうちに、経営難に苦しむ中小銀行の資金繰(ぐ)りが限界に達しつつありました。
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新型コロナウィルス感染症の蔓延は世界中に大きな不幸をもたらしましたが、それが「庚子」の年に起こったことで、我が国が一丸となって国難を乗り越えようとする、すなわち「これまでとは全く異なる動きが発生する中で将来に備える」ことができるのではないでしょうか。
アメリカの動きが世界の安全保障に大きな影響を与えるなか、さらなる困難が予想される「辛丑」の年に、我が国は「これまでとは異なる新たな絆を構築し、信頼できる仲間とともに辛い時期を共に乗り越える」ことができるようにしなければなりません。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」と言います。今からでも国民の一人ひとりが幕末期の動乱などの歴史に学んで力を蓄(たくわ)え、来るべき大変革の時代に思いを馳(は)せるべきでしょう。
それらをしっかりと啓発するのが「歴史講演家」である私の責務であると自覚し、またそのことを誇りに思って、皆様とともに学び、考えつつ、我が国の未来を切り拓(ひら)く「志士」の仲間に加わりたいと願っております。
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もしこの状態がこのまま続いて、どこかの国がある日突然ペリーのように恫喝(どうかつ、人をおどして恐れさせること)外交を行えば、果たしてその頃の我が国は外国に対抗できるだけの国力を持ち得ることができるでしょうか。
さらには、これだけ危機が迫っている現状であるというのに、国会において我が国の具体的な安全保障や経済対策を論じることなく、それこそ枝葉末節(しようまっせつ、本質から外れたつまらない細かな部分のこと)な内容に終始する政党政治が本当に必要でしょうか。
もはや我が国は「モリカケ」や「桜」などにこだわっている暇(いとま)は全く存在しないのです。それなのに、結果的に我が国に幕末期のような大混乱を再び引き起こそうとする政党が存在するのであれば、もはや「百害あって一利なし」としか言いようがありません。
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昨年行われたアメリカ大統領選挙において、民主党のバイデン氏が当選して今年から大統領に就任しましたが、選挙における開票作業などをめぐって様々な問題が発生するなど、就任当初から何かと周辺が騒がしくなっています。
また、昨年は新型コロナウィルス感染症が世界中に蔓延(まんえん)しましたが、その大きな原因と考えられる中華人民共和国自体は世界中の混乱をよそに着実に国力を拡大し、GDP(=国内総生産)はアメリカに次ぐ世界第2位となり、そのアメリカを追い抜こうとする勢いです。
一方、我が国のGDPは30年以上も横ばいが続いているのみならず、平成22(2010)年頃に中華人民共和国に追い抜かされてからその差は開く一方で、現在では3倍以上の格差となっています。さらに、GDPの大きな差はそのまま防衛費(=軍事費)の差につながりますから、中華人民共和国の軍事力は量的に我が国を大きく上回っており、アメリカにも迫りつつあります。
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かくして我が国は、まるで屋上屋(おくじょうおく)を重ねるように、本来は全く不必要な大日本帝国憲法を制定し、さらにそれを「不磨(ふま)の大典」としたことによって改正の機会が奪われ、やがてその「欠陥」が明るみに出てしまった「統帥権干犯(とうすいけんかんぱん)」の問題が大東亜戦争の一因と化してしまいました。
さらには我が国の敗戦に伴い、GHQ(=連合国軍最高司令官総司令部)から「日本国憲法」なるものを押し付けられたばかりか、制定後約75年にわたって一字一句改正されていないという異常事態を招いているのです。
一つの政治の失策が、我が国のみならず世界の歴史をも大きく動かしたことになりますが、これらの教訓から私たちは何を学べばよいのでしょうか。
実は、先述した「庚子」→「辛丑」の流れ、すなわち「昨年から今年」を俯瞰(ふかん、広い視野で全体を見渡すこと)することで、今の我が国の置かれた現状を理解するとともに、今後の針路を見出すことも可能になるのです。
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しかしその一方で、イギリスのように「マグナ・カルタ」や「権利の章典」などといった、議会決議や裁判所の判例、国際条約、あるいは慣習などのうち、国家の性格を規定するものの集合体として存在し、憲法典としては制定されていない「不文憲法」を採用している国家も存在しています。
ひるがえって、長い歴史を持つ我が国では、604年に聖徳太子(しょうとくたいし)によって制定された「憲法十七条」や、鎌倉時代に北条泰時(ほうじょうやすとき)によってつくられた「御成敗式目(ごせいばいしきもく)」、あるいは明治元(1868)年に明治天皇が神前にてお誓いなされた「五箇条の御誓文(ごせいもん)」など、イギリスと同じような「不文憲法」として対応できる法令が存在していました。
さらには、我が国最古の歴史書である古事記や日本書紀によって知られている、天照大神(あまてらすおおみかみ)が御孫の瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)にお与えになられた「我が子孫(=天皇)が日本を治めることは永遠である」という意味の「天壌無窮(てんじょうむきゅう)の神勅(しんちょく)」は、我が国の国体(こくたい、国家としての体制のこと)の中心であると同時に、不文憲法の根幹をなすものです。
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