また、当時の教育界も、道徳教育の基礎を何に置くかという根本的な問題について一致した見解を持っていなかったため、我が国伝統の倫理や道徳に関する教育が軽視される傾向にありました。
この事態を重く受け止められた明治天皇は、井上毅(いのうえこわし)と元田永孚(もとだながさね)に起草させ、天皇ご自身も熱心にお考えを示されたうえで、明治23(1890)年10月30日に「教育ニ関スル勅語(ちょくご)」(通称:教育勅語)を発せられました。
教育勅語には我が国の伝統的な国家観と人倫道徳とが融合した「国民道徳」が分かりやすい文章で書かれており、また孝行・友愛・夫婦の和・朋友(ほうゆう、友人のこと)の信・謙遜(けんそん)・博愛・修学習業(しゅうがくしゅうぎょう)・智能啓発(ちのうけいはつ)・徳器成就(とくきじょうじゅ、人格向上に努めること)・公益世務(こうえきせいむ、世の人々や社会のためになる仕事に励むこと)・遵法(じゅんぽう、法律を守ること)・義勇の12の徳目(とくもく、道徳の基本の意味)を、天皇お自らが国民とともに実践されようとするお考えが示されていました。
なお、教育勅語は明治天皇が親しく国民に発せられたお言葉として御名(ぎょめい、公文書における天皇ご自身による署名のこと)だけが記され、国務大臣の署名は副署されませんでした。
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