こうして誕生した地方の武士ですが、武士団の形成に関しては、実はもう一つの理由がありました。それは受領(ずりょう)と呼(よ)ばれた国司(こくし、地方の行政官のこと)の「おいしい」職務(しょくむ)に原因があるのですが、皆さんはお分かりでしょうか。
地方の役人である国司は徴税請負人(ちょうぜいうけおいにん)として一定の税を集めて政府へ送る必要があったのですが、これは定率の税さえ納めれば、残りは自分の取り放題となるということも意味していました。例えば、本来であれば20%の税を納めれば済むところを、50%をかき集めることによって、差額の30%をそのまま自分の利益にしてしまうことも可能だったのです。
このような「おいしい」国司には希望者が殺到(さっとう)し、貴族たちは様々な手段で国司などの役職を得ようとしました。例えば、朝廷の行事や寺社の造営を請け負って、そのかわりに国司などに任じてもらうという成功(じょうごう)や、同じ方法で引き続き同じ国の国司などに任命される重任(ちょうにん)などが盛(さか)んに行われるようになりました。





いつも応援いただきまして、本当に有難うございます。
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晴雨堂ミカエル 今昔物語でしたか? むかし読んだきりなのでかなり忘れていますが、貧乏五位が大臣の宴会に出席して、甘づらをたらふく食べたいと呟いていたら、受領が任国に招待し、贅沢にダイナミックに甘づらを大量に作ってもてなし、五位はカルチャーショックを受けて、一口食べただけで「もう満腹です」。
これは何に書かれた物語だったでしょうか?
晴雨堂ミカエルさんへ
黒田裕樹 芥川龍之介の「芋粥」ですね。
「今昔物語」から題材をとっているようですが、原作と小説とでは若干ストーリーが異なるようです。
ぴーち おはようございます!
人間はおいしい話、手っ取り早く富を得たいという欲が強い為につい甘い蜜に吸い寄せられてしまう性を持っていますね(^_^;)
人間ばかりでは勿論ありませんし、生き物全体に言える現象でもあるでしょうけれど、そんな本能の欲するがままの生き方はどうも醜く感じてしまいます。苦い水、しょっぱい水、様々な味の水を経験して初めて甘い蜜がおいしく感じられるように思います。
応援凸
ぴーちさんへ
黒田裕樹 仰るとおり、このあたりの人間模様は醜くさえありますね。
このような欲望がやがてもう一つの「武士」をもたらすことになります。これもまた歴史なんですよね…。