天文学(てんもんがく)や暦学(れきがく)では、渋川晴海(しぶかわはるみ、または「しゅんかい」、別名を安井算哲=やすいさんてつ)が、それまでの暦(こよみ)の誤差を観測によって修正し、我が国独自の貞享暦(じょうきょうれき)をつくりました。なお、この功績によって渋川は幕府の天文方(てんもんがた)に任じられています。
江戸時代初期には様々な治山(ちさん)・治水(ちすい)や都市整備などの事業が行われましたが、その際に精密(せいみつ)な測量が必要だったことや、あるいは商業取引の際に重要だったことから和算(わさん)が発達しました。関孝和(せきたかかず)は筆算代数式(ひっさんだいすうしき)とその計算法や円周率(えんしゅうりつ)の計算などで優(すぐ)れた業績を残しています。
薬草の研究から始まった本草学(ほんぞうがく)は貝原益軒(かいばらえきけん)が大和本草(やまとほんぞう)を、稲生若水(いのうじゃくすい)が庶物類纂(しょぶつるいさん)を著しました。なお、本草とは薬効(やっこう)のある植物や動物・鉱物のことです。本草学は農業や医療の改善にも貢献し、宮崎安貞の農業全書のような農書の普及(ふきゅう)ももたらしました。
また、地理学の分野では西川如見(にしかわじょけん)が華夷通商考(かいつうしょうこう)を著して海外事情を紹介したほか、新井白石が我が国に潜入(せんにゅう)して捕えられたイタリア人宣教師(せんきょうし)のシドッチを尋問(じんもん、取り調べとして口頭で質問すること)した内容をまとめた西洋紀聞(せいようきぶん)を著しました。
(※下線を引いた事例については、リンク先もご参照下さい)




いつも有難うございます。
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ぴーち こんばんは!
本草綱目という中国薬学史からの日本語訳を
貝原益軒という方が表した訳ですね。
今でも本草という名前の製薬会社がその名前を受け継いで居るようですが、そこから農業の方へ発展して言ったお話は初めて伺いました。
確かに薬草も土づくりからが大切ですものね^^
応援凸
ぴーちさんへ
黒田裕樹 仰るとおりですし、こんなところでも我が国の歴史と伝統をうかがい知ることができますね。
土づくりは人間の生活の基本ですよね(^^♪
オバrev 日本史で習った名前が何人かでてきました・・・うん十年前の話ですが(^^ゞ・・・けれども、この時代に現在のような大学や研究所がある訳でもあるまいし、これだけの一流の科学者がでてきたのは奇跡じゃないですか(゚д゚)!
西洋紀聞が取り調べのことを書いたものとは知りませんでした(ノ∀`)アチャー
こんばんは
ryo 日本の文化の話になると、聞いたことのない著名人が多くなんだか難しく感じてきます。私は世界史を専攻していたので、日本史に慣れていないせいなのかもしれません^^; 大学受験の日本史はこうしたレベルが普通なのでしょうか。
オバrevさんへ
黒田裕樹 > 日本史で習った名前が何人かでてきました・・・うん十年前の話ですが(^^ゞ・・・けれども、この時代に現在のような大学や研究所がある訳でもあるまいし、これだけの一流の科学者がでてきたのは奇跡じゃないですか(゚д゚)!
確かに奇跡的な話に思えますが、我が国の長い伝統からすれば決して不可能なことではないと思いますよ。いずれにせよ大きな誇りですね。
> 西洋紀聞が取り調べのことを書いたものとは知りませんでした(ノ∀`)アチャー
偶然が生んだ産物ですね。ただ、新井白石の個人的な感覚が入っているらしいですから…。
ryoさんへ
黒田裕樹 > 日本の文化の話になると、聞いたことのない著名人が多くなんだか難しく感じてきます。私は世界史を専攻していたので、日本史に慣れていないせいなのかもしれません^^; 大学受験の日本史はこうしたレベルが普通なのでしょうか。
私の講座の内容は基本的に「センター試験レベル」を目指していますので、仰るとおりになるかもしれません。あまり記憶に頼るような内容にしたくはないので、できるだけ分かりやすくなるように努めてはおりますが、文化史はどうしても知識の羅列が多くなってしまうのが悩みでもあります。