これらの公共事業が元禄時代までに一段落すると、高い年貢を納める必要がなくなり、年を追うごとに年貢率は低下していきました。年貢率の低下は生活の余裕をもたらし、それまで食べるのに精一杯だった人々は、暮らしの中に遊びを求めるようになりました。
人々が遊びを求めればそれだけ貨幣の動きが活発になり、結果として経済が目覚ましく発展しました。経済の発展は遊びのさらなる進化をもたらし、武士や有力町民のみならず、一般庶民の間にまで高い水準の多彩(たさい)な文化が発達することになったのです。
元禄時代を中心に栄えたことから、この時代の文化は元禄文化(げんろくぶんか)と呼ばれていますが、その特色は現世(げんせ)を「浮(う)き世(よ)」と、すなわち人間社会の現実を肯定的(こうていてき)にとらえて実利を重んじる町人の思いが込(こ)められると同時に、この時代に奨励(しょうれい)された儒学(じゅがく)と政治との結びつきや、実証主義による古典研究や自然科学の学問の発達など、様々な側面が見られます。




いつも有難うございます。
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ぴーち こんばんは!
この頃の日本はまだまだ国民が政府に対して
絶大なる信頼を寄せていたのでしょうね。
デンマークの様な高い税率でも国民から余り文句が出ない国になるには、やはり政府がしっかりとした信頼を取り戻していかなければ、ならないのでしょうね。
応援凸
ぴーちさんへ
黒田裕樹 > この頃の日本はまだまだ国民が政府に対して
> 絶大なる信頼を寄せていたのでしょうね。
> デンマークの様な高い税率でも国民から余り文句が出ない国になるには、やはり政府がしっかりとした信頼を取り戻していかなければ、ならないのでしょうね。
そうですね。高い原資を取った一方で、仕事もあって支払いもきっちりしていたからこそ、庶民も耐えきったのだと思います。高度成長時と環境が似ているかもしれませんね。
紗那 7割税金とは高い気がしますが、それらの使い道がはっきりしていたからこれでも民衆は納めたのでしょうね……
いまの日本を見ていると、5%の消費税すら払いたくなくなります
一般庶民までに広く広がった文化は、これが初めてですっけ……?
紗那さんへ
黒田裕樹 > 7割税金とは高い気がしますが、それらの使い道がはっきりしていたからこれでも民衆は納めたのでしょうね……
私もそう思います。納めた米も労働の対価とはいえ還ってきましたからね。
> いまの日本を見ていると、5%の消費税すら払いたくなくなります
その気持ち、よく分かります(´・ω・`)
(額が少ないとはいえ)税金を払っている身分からすればたまったものではありませんからね…。
> 一般庶民までに広く広がった文化は、これが初めてですっけ……?
そのとおりです。「庶民の文化」としての側面は近いうちにご紹介しますよ。
風流
ろっぽん 先週に買った「中公文庫、まんが日本の古典・奥の細道
(矢口高雄)」を読むと山形の尾花沢に清風(俳号)と
いう人を訪ねて十日十一泊するのですが、
清風は江戸や京に紅花を卸す問屋で
江戸滞在のおり、芭蕉庵で手ほどきを受け
田舎でも風流をひろめ 今言うサークルみたい
なものを作っており、そんなように東北の片田舎にも
風流をたしなむ文化が元禄時代は広まっていたんですね
中公文庫、日本の古典は高校生に古典を理解させるには
最適な本です。値段も630円くらいで高校生にも
求めやすいのではないでしょうか。
ろっぽんさんへ
黒田裕樹 レビューを拝見しましたが、良作のようですね。時間を見つけてぜひ拝読したいと思います。
お勧め下さって有難うございます。
こんばんは
ryo 年貢の取立てが緩和されたことで、庶民の暮らしにゆとりができ、豊かになった。元禄文化や楽市楽座などこうした歴史を振り返れば、思い切った規制緩和と減税を行うことで現在の景気も良くなるような気がしてなりません。
そこで、規制緩和ができないのは中央集権体制や既得権益にも問題があるように思います。歴史に学ぶことも必要ですが、過去から続いているこうした体制があることで地方分権が思うように進まない。黒田先生はどのような所見をお持ちですか。
ryoさんへ
黒田裕樹 規制緩和については仰るような中央有権体制によるがんじがらめの規制や既得権益の打破の難しさがあると思います。ただ、今の段階で地方分権を敢行しても、国益を無視した「地方益」によって我が国全体の危機を助長するような気がしてなりません。なぜなら、戦後教育が「公」よりも「私」を強調しすぎたことによる弊害が多いと考えられるからです。
減税には私も同意です。財源としては復興債かもしくは政府紙幣の大増刷でしょう。80年以上前の金融恐慌の際に、モラトリアムで高橋是清が断行した政策を思い出すべきです。