しかし、大東亜戦争開戦前の昭和16(1941)年10月には大学及び専門学校の卒業予定者を3か月繰り上げ卒業させて翌昭和17(1942)年2月に入隊させたほか、翌年度には6か月繰り上げさせて10月に入隊させました。
その後、戦局の悪化に伴う慢性的な兵力不足を打開するため、昭和18(1943)年10月2日に「在学徴集延期臨時特例に関する勅令(ちょくれい、天皇が発した法的効力のある命令のこと)」が出され、文科系の高等教育諸学校の在学生の徴兵延期の措置(そち)が撤廃(てっぱい)されました。
昭和18(1943)年10月21日、雨が降り続く東京の明治神宮外苑(がいえん)競技場で関東地方入隊学生を中心に約3万人の出陣学徒壮行会が行われ、学徒出陣によって多くの学生が戦場へ向かうことになりました。なお、この日の雨は勢いが激しく、その中での出陣式は悲壮感を一層あおる劇的なものであり、今も繰り返しテレビ放送やYouTubeなどで見ることができます。
ただ、高等教育を受けている学生は本来徴兵が免除されて当たり前との一種のエリート意識がそこにはあり、そのエリート意識が無自覚に隠されもせず今も放送されていることには、現代にまで続いている何か重要な見落としが潜(ひそ)んでいるかもしれません。
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昭和19(1944)年に入ると、学徒出陣で徴兵されなかった学生・生徒は軍需工業に動員され、高学年の生徒の男女を問わない深夜作業も許可されました。そして昭和20(1945)年3月には決戦教育措置要綱が定められ、国民学校初等科を除いたすべての学生・生徒の授業が停止され、学徒勤労総動員の体制がとられました。
学徒出陣や学徒勤労動員が行われた背景には、大東亜戦争における戦局の悪化による人材不足がありました。男子の多くが出征(しゅっせい)したこともあって女子挺身隊(ていしんたい)が結成され、兵役のなかった女子も未婚者が工場での生産に動員されました。
また、戦局の悪化でアメリカ軍による本土への空襲の危険性が高まると、政府は学童を保護するため昭和19(1944)年8月頃から大都市の学童を集団で地方へ疎開(そかい)させました。これを「学童疎開」といいます。
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大東亜戦争当時、軍隊に動員された青壮年(せいそうねん)男性は400万人から500万人に達したため、日本国内で生産に必要な労働力は学徒勤労動員でも挽回できないほど慢性的に不足しました。また、制海権や制空権を日本軍が喪失(そうしつ)したことで南方諸地域からの海上輸送が困難となったため、軍需生産に欠かせない鉄鉱石や石炭・石油などの物資も欠乏(けつぼう)しました。
このため、我が国の各種の軍需生産力は戦局の悪化につれて急速に低下し、戦場の前線に対する補給も困難になるなど、作戦の遂行すらままならなくなるようになりました。
様々な物資不足は国民生活にも大きな影響を及ぼし、衣料では総合切符制が敷(し)かれたものの、切符があってもモノがない状況となったり、コメの配給も滞(とどこお)ってイモや小麦粉など代用品の割合が増えたりしていきましたが、多くの国民は生活物資の逼迫(ひっぱく)や食糧事情の悪化などの悪条件に耐え、我が国の勝利を信じて協力しました。
なお、国民の多くが食糧不足に悩まされている現実をお考えになった昭和天皇は、ご自身のお食事に国民と同じ配給を強くお命じになられ、代用食や水団(すいとん)などを進んでお召(め)し上がりになられたそうです。
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