この場で何が話されたかの記録は残っていませんが、事後の展開から、おそらく頼朝は自らを「征夷大将軍(せいいたいしょうぐん)」に任命するように後白河法皇に迫ったと考えられます。なぜ頼朝は征夷大将軍という官職を要求したのでしょうか。そこには「幕府」の誕生とも密接にかかわる頼朝の最高傑作ともいうべき発想がありました。
そもそも「幕府」という言葉の本来の意味は、チャイナにおける「王に代わって指揮を取る将軍の出先における臨時の基地」です。この場合、チャイナの皇帝は円滑に戦争を進めさせるため、将軍に対して本来は皇帝の権限である徴税権や徴兵権を委任していました。
つまり、頼朝は自らを「幕府の将軍」になぞらえることによって、朝廷から独立した軍事政権を確立しようとしたのです。
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トップ会談から2年後の建久3(1192)年旧暦3月に後白河法皇が66歳で崩御されると、頼朝が改めて朝廷に迫ったことによって、同年旧暦7月に頼朝はついに征夷大将軍に任じられました。
将軍が誕生したことによって鎌倉幕府が名実ともに成立するとともに、いわゆる鎌倉時代の幕開けとなりました。
なお、最近の歴史教育では鎌倉時代がいつ成立したかということについて様々な説が出されているようですが、頼朝が征夷大将軍に任じられたことによって「鎌倉の軍事政権が朝廷に公認された」という幕府成立の事情を考えれば、やはり「いい国つくろう鎌倉幕府」の1192年(建久3年)こそが成立の年にふさわしいと私は考えます。
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しかし、天皇は新たな政治権力者となった武家と対立するのではなく、政治権力者が「民のために祈り続けた」天皇の権威を押しいただいて政治を行うことが、我が国の政治文化としての伝統となったのです。
また、頼朝は征夷大将軍に任じられる前から、先述のとおり守護や地頭の設置などによって鎌倉を中心に東国で政治の実権を事実上は握っていましたが、自己の立場を朝廷、すなわち天皇に「公認」してもらうことで、より安定した政権を築こうという思惑があったと考えられます。
要するに、我が国では鎌倉幕府という軍事政権が誕生しても、天皇と対立して滅ぼそうとするどころか、逆に天皇の権威を活用することで政権を確立しようという、諸外国では考えられないような独自のシステムが存在していたことになります。
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また、時が流れて政治権力者の失政によって政権交代が起きても、室町幕府や江戸幕府などがそうであったように単純に政治権力者が交代しただけであり、他国のような「国家元首と国民との対立」は起きませんでした。
権威としての天皇がご存在し続けることで、政権の交代が時折起きたとしても、全体的には政治が大いに安定した我が国では、外国に比べて平和な時代が長く続いたことで、我が国独自の文化も着実に成熟していったと考えられるのです。
なお、この形態は「日本文明」の本質そのものと言って良いでしょう。
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