そこで、中国は我が国を味方に引き入れようと様々な工作をしました。例えば、紀元57年に後漢(ごかん)を訪問した奴国(なこく)に「漢委奴国王」(かんのわのなこくおう)という金印(きんいん)を授(さず)けたり、239年に魏(ぎ)を訪問した邪馬台国(やまたいこく)の女王卑弥呼(ひみこ)の使節には、「親魏倭王」(しんぎわおう)の称号や金印の他に多数の銅鏡(どうきょう)などを贈ったりしています。
特に、卑弥呼の使節に魏が与えた宝物(ほうもつ)は、他の朝貢国(ちょうこうこく)と比較にならないくらい量が多かったそうです。多数の宝物を贈ったという事実は、魏には邪馬台国を自分の支配下に置くことにより、外交上の優位に立ちたいとする思惑があった何よりの証拠(しょうこ)です。
また、邪馬台国にとっても魏との外交は、我が国内で優位に立つためのひとつの手段だったとも考えられます。いざとなれば中国大陸から援軍がやってくるかもしれないという可能性は、邪馬台国と対立する他国にとっては大いに脅威(きょうい)だったことでしょう。それゆえに、中国が混乱状態になって邪馬台国が大陸との縁(えにし)を失ってしまうと、大和朝廷(やまとちょうてい)によって征服されてしまったという仮説(かせつ)が成り立つのです。




いつも有難うございます。
時代が進んで6世紀後半になると、隋(ずい)が中国大陸を約300年ぶりに統一しました。中国大陸にひとつの大国が誕生したという事実は、それまで独立国の高句麗(こうくり)、百済(くだら)、新羅(しらぎ)の3つに分かれていた朝鮮半島のみならず、我が国にも大きな衝撃(しょうげき)を与えました。
中国が混乱状態となったことによって、それまで大陸の外に向けられていたエネルギーが内に向かうと、それを待っていたかのように朝鮮半島の国々が次々と独立を果たすことができましたが、新たなる統一国家である隋の誕生によって、内に向けられていた巨大なエネルギーが再び外へ押し出されることになり、東アジアの情勢は一触即発(いっしょくそくはつ、ちょっとしたきっかけで大事件に発展しそうな危険なさま)の状態となってしまったからです。
果たして隋は、統一後間もなく陸続きの高句麗と戦争状態となりました。一度は隋の猛攻(もうこう) を跳(は)ね返した高句麗ですが、危機にあることに変わりはありません。もし隋が仮に朝鮮半島をすべて侵略してしまえば、豊富な経済力によって多数の船を従えて、我が国に大軍を率いて攻め寄せる可能性が十分考えられました。




いつも有難うございます。
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オバrev 緊急事態解決おめでとうございます。
私でしたらとても無理でしょう。
中国情勢を考えると、邪馬台国が大和朝廷に制圧されたという説も説得力ありそうですね。
倭王武もですが、倭の五王ってあったような気が・・・
オバrev様
黒田裕樹 緊急事態には本当に焦りましたよ。
こうして当たり前のようにコメントできることのありがたさが身にしみます。
ご推察のとおり、倭王武は倭の五王の一人です。いずれも仁徳天皇本人か、あるいは仁徳天皇の血を引く天皇の方々です。詳しくはGW明けに始める予定の古墳時代で改めて説明します。
bunyan こんばんは~
緊急事態とは知りませんでした
無事解決してよかったですね。
また更新頑張ってください。
bunyan様
黒田裕樹 よりによって連休の初日でしたからね。
お休みでいつもより多くの方がコメントされるかもしれないのに…と思うと居ても立ってもいられなかったですよ(汗)。
前にも書きましたが、連休中は一日に2度(8時と16時)更新しますので、また是非お越し下さい。
ケンシロウ こんにちは。
緊急事態が発生していたことも知らなかった。
でも完全復活でおkですね。
> 隋が仮に朝鮮半島をすべて侵略してしまえば
確かに隋には攻められたかも知れませんね。
しかしテポドンは飛ばせなかったかも知れませんよw
さすらい こんばんは。
緊急事態から復帰されて何よりです。
お気持ちはお察しします。
FC2は危ないんですよね。
過去に記事そのものを
最初から全部消された方もいました。
ショックでそれ以来辞められてしまいましたが
無料で提供されている部分もあるので
致し方ないのかもしれません。
ですが、コメントできなくなったり
記事が書けなくなっては意味ないですよね。
サーバー不良がよくあるFCですが
今回は早い対応だったようで一安心です。
また講義を続けてください。
今回の隋の時代の話。
東洋鍼の先生も活躍した時代でした。
興味のあるところなので
期待しております。
では応援♪
コメント有難うございます!
黒田裕樹 ケンシロウ様
はい、完全復活です(^_^)v
緊急事態も苦い経験になりました。いつ有事が発生するかというのは、個人レベルでも十分考えられますね…。
テポドンのような「空からの武器」は6世紀では考えられませんからね。でも現在は…。
さすらい様
記事の全消去ですか!
…それに比べたら書き込み制限なんて大甘ですね。有事に備えてバックアップしないと…。
隋の時代は我が国が飛躍するきっかけをつくった時代でもありました。その理由は…今日(3日)の記事に書きましたね(^^ゞ