数多くの法令の中には、「鳥類などを口にしてはいけない」という食卓での禁令など、次第にエスカレートしたものが多かったのは確かです。しかし、法令の底辺にあったのは「動物愛護」から「人命尊重」へとつながっていった、確固たる綱吉の意思でした。
この当時は、作業に使役させる目的で牛や馬が飼われていましたが、年老いたり病気になったりすると、動けるうちから追放して死なせることがよくありました。
野ざらしにされて死んだ牛馬から発生した病原菌が、その肉を食べた野犬が人々に噛み付くなどして人間に伝染することで、疫病(えきびょう)が広がることが多かったのです。
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この他、生類憐みの令では、病気になった牛馬をきちんと療養させることや、捨て子の禁止、あるいは人が旅先で病気になっても旅籠(はたご)で面倒をみることなども義務付けています。
また、中野の巨大な犬小屋ですが、これは「いくら禁令を出しても捨て犬などの行為が後を絶たないため、幕府でまとめて保護をする」という考えから造られた「野犬化防止施設」でもありました。しかも、犬小屋の運営費用は幕府が出す一方で、エサ代は飼い主から出させているのです。
飼っていた犬や猫を捨ててしまうことで野生化し、問題になることは現代でもありますよね。それを公費で養う一方で、飼い主にも相応の負担をさせているのですから、綱吉の考え方は、結果として現代よりもよっぽど進んでいるとも考えられます。
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生類憐みの令によって処罰された例は、約20年間でわずか69件に過ぎません。しかも、処罰の対象者のうち3分の2に当たる46件は下級武士であり、町人や農民よりもはるかに多くなっています。
さらに69件のうち、死罪になったのはたったの13件であり、流罪も12件しかないのです。こうした現実は「多数の死者を含む数十万人の罪人」という伝説を信じ切っていた人々には耳を疑う話ではないでしょうか。
このように、現代においても多くの人々から誤解されている生類憐みの令ですが、実はわが国の歴史に輝かしい功績を残していることを皆さんはご存知でしょうか。キーワードとなるのは、現代の私たちに当たり前のように備わっている「ある精神」です。
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そんな風習が、生類憐みの令によって、綺麗さっぱり一掃されてしまったのです。確かに人間よりも動物の方が大切であるかのような法令には、行き過ぎた問題がありましたが、年月の経過とともに骨の髄にまで染み付いてしまった「戦国の遺風」をなくすためには、ある意味では「劇薬」ともいえるショック療法が必要でした。
生類憐みの令の他に「劇薬」として知られているものに、織田信長(おだのぶなが)の領地における「一銭斬り」がありますが、これはたとえ一銭であっても盗めば首が飛ぶというとんでもない内容でした。
しかし、この法令があったお陰で、信長の領地では、夜道を女性が一人で歩けるほど安全になったという記録が残されています。信長の無茶な法令に比べれば、約20年間で69件しか処罰されず、死罪も13件しかなかった生類憐みの令の方が、よほど人道的であったというべきでしょう。
江戸時代には、落語の世界の「熊さん八っつあん」に代表されるような「助け合いの精神」があったと一般に知られていますが、初期はむしろ全く逆でした。しかし、綱吉の出した法令がそれを180度転換し、生命を大切にするとともに相手の立場を尊重するという道徳心をもたらし、現代にまで続いているのです。
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