イエズス会による布教活動は、イスパニアやポルトガルによる植民地政策と一体化して行われました。布教の拡大によって地元住民にカトリックを信仰させ、その後に「神の名の下(もと)に」侵略を仕掛けることで容易に目的を達成できるという、いわばお互いの利害が一致した結果でした。
我が国との南蛮貿易も、実は布教活動と一体化させていたのであって、現実に1549年にイエズス会のフランシスコ=ザビエルが鹿児島に到着すると、領主である島津貴久(しまづたかひさ)の許可を得て布教活動を開始しました。
ザビエルは鹿児島から京都にのぼった後、山口の大内義隆(おおうちよしたか)や豊後府内の大友宗麟(おおともそうりん、別名を義鎮=よししげ)らの大名の保護を受けてキリスト教(カトリック)の布教活動を続けました。
なお、当時のキリスト教はキリシタン(=切支丹)、あるいは天主教(てんしゅきょう)と呼ばれています。




いつも有難うございます。
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紗那 なるほど、一見関係の無いように思っていたことがここでも絡み合ってるんですね!
植民地政策の一環というわけですか。
日本ではどうだったんでしょうか……
紗那さんへ
黒田裕樹 > なるほど、一見関係の無いように思っていたことがここでも絡み合ってるんですね!
> 植民地政策の一環というわけですか。
そのとおりです。政治や文化、あるいは宗教を別々に学習していると、こうした理解がなかなかできません。
「歴史の流れ」がいかに大切かということですね。
> 日本ではどうだったんでしょうか……
この頃はまだ大丈夫でした。しかし時代が進むと…。
黒田裕樹さん
風早 りら 宗教と植民地政策
宗教と政治
考えさせられます
宗教を そうした事に利用して欲しくないです
風早りらさんへ
黒田裕樹 > 宗教と植民地政策
> 宗教と政治
> 考えさせられます
> 宗教を そうした事に利用して欲しくないです
私たち日本人にとって、政教分離は当然のことですよね。
でも、諸外国は必ずしもそうではないのが現実です。
そして、かつての我が国でも…これはまた近々取り上げますね。
mari36 スペインと日本の出会いですね。もしかしたら、日本も南アメリカの国々のようになってしまったかもしれなかったのに..危ないところだったのでは、と思います。
mari36さんへ
黒田裕樹 > スペインと日本の出会いですね。もしかしたら、日本も南アメリカの国々のようになってしまったかもしれなかったのに..危ないところだったのでは、と思います。
各地におけるスペインの所業を鑑(かんが)みれば、仰るような危険性も十分にあったと思われるのは当然ですよね。
しかし、現実としてそうならなかったのは、やはり何らかの理由があるということでしょう。
では、その理由とは…いずれ講座で紹介しますね(^^♪
ポルトガル船がカトリックの布教を認めた大名領にした入港しなかったこともあって、各地の戦国大名の多くは南蛮貿易による権益の欲しさから宣教師の布教活動を保護するばかりでなく、中には自らが洗礼を受けてキリシタン大名となるものも現れました。
キリシタン大名のうち、九州の大友宗麟や大村純忠(おおむらすみただ)、有馬晴信(ありまはるのぶ)らは、イタリア人宣教師のヴァリニャーニの勧めによって1582年に少年使節をローマ教皇のもとに派遣しました。これを当時の年号から天正遣欧使節(てんしょうけんおうしせつ)といいます。
カトリックによる教えは、ヨーロッパの進んだ文化にあこがれたり、あるいは既存の仏教を中心とした宗教勢力が権益を求めて争い合う姿勢に不満を持ったりした人々の間で急速に広まっていきましたが、その一方でキリシタン大名の大村純忠が、信仰心のあまり自領の長崎をイエズス会に寄進するという前代未聞(ぜんだいみもん)の行為も見られ、カトリックに潜(ひそ)む我が国侵略の野望は、水面下で確実に広がっていきました。
※次回(10月26日)からは第19回歴史講座の内容の更新を開始します。




いつも有難うございます。
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風早 りら 大村純忠が信仰心のあまり自領の長崎をイエズス会に寄進するという話は知りませんでした
それで長崎はその後 どうなったのですか
明日 お答え待っています
気になります
ぴーち こんばんは!
宗教は麻薬だなどと例えられますが、
麻薬以上の怖さも宗教には孕んでいる場合も多いと思います。
仰るとおり、特にカトリック系に関しては
日本人の西洋に憧れる要素が多分にあるものと思われます。
応援凸
風早りらさんへ
黒田裕樹 > 大村純忠が信仰心のあまり自領の長崎をイエズス会に寄進するという話は知りませんでした
> それで長崎はその後 どうなったのですか
> 明日 お答え待っています
> 気になります
残念ながら明日からは23日の歴史講座の更新となりますので、以前に行った第11回の講座の中でりらさんの答えになりそうな記事を参考とさせていただきます。
a href="http://rocky96.blog10.fc2.com/blog-entry-439.html" target="_blank">http://rocky96.blog10.fc2.com/blog-entry-439.html
明日からもよろしくお願いします。
ぴーちさんへ
黒田裕樹 > 宗教は麻薬だなどと例えられますが、
> 麻薬以上の怖さも宗教には孕んでいる場合も多いと思います。
> 仰るとおり、特にカトリック系に関しては
> 日本人の西洋に憧れる要素が多分にあるものと思われます。
今回の場合は宗教の中に大きな野望が潜んでいましたからなおさらですよね。
単なる憧れだけでは、世の中はうまくは渡っていけないのかもしれません。
関東の誠 「キリスト教伝来と隠された真実」が終わってしまうのですか?。もっと教えて頂きたかったです。非常にアバウトな分類ですが、古くからある自然崇拝の多神に対する信仰と旧約聖書以降の唯一神教との間に被征服者と征服者の関係があるように思い、その中で八百万神の日本が被征服者にならなかったことに非常に興味深さを感じていましたので、またの機会を楽しみにしております。
関東の誠さんへ
黒田裕樹 > 「キリスト教伝来と隠された真実」が終わってしまうのですか?。もっと教えて頂きたかったです。非常にアバウトな分類ですが、古くからある自然崇拝の多神に対する信仰と旧約聖書以降の唯一神教との間に被征服者と征服者の関係があるように思い、その中で八百万神の日本が被征服者にならなかったことに非常に興味深さを感じていましたので、またの機会を楽しみにしております。
キリスト教についてはもちろんこれからも講座で紹介していくことになりますが、時代が若干変わることになりますので(戦国→安土桃山)、日を改めて更新させていただきます。ご容赦下さい。
ちなみに、八百万の神様が被征服者にならなかったことにはそれなりの理由があると私は見ております。
mochimochi 大名が利益のために改宗したというのは、ほぼ正しいと思います。
ただ、全ての大名がそうであったとは思いません。
その辺少し繊細なことですので、”大勢の大名が~”としてほしかったです。
それと、私にとってキリスト教と茶道とは切っても切れないことなのです。というのは、ある情報では、これらの二つはお互い深いつながりがあると言ってるからです。実際、千利休の奥さんはクリスチャンであったとのことです。
ただ、この情報の信憑性はあまりないですが。。。
このシリーズ楽しみにしています。
ちなみに ”八百万の神様が被征服者にならなかったことにはそれなりの理由があると私は見ております。”
とても興味があるので良かったら教えてください。
mochimochiさんへ
黒田裕樹 > 大名が利益のために改宗したというのは、ほぼ正しいと思います。
> ただ、全ての大名がそうであったとは思いません。
> その辺少し繊細なことですので、”大勢の大名が~”としてほしかったです。
なるほど、確かに一理ありますね。仰ることも考慮して内容を若干変更させていただきます。
> それと、私にとってキリスト教と茶道とは切っても切れないことなのです。というのは、ある情報では、これらの二つはお互い深いつながりがあると言ってるからです。実際、千利休の奥さんはクリスチャンであったとのことです。
> ただ、この情報の信憑性はあまりないですが。。。
うっすらとですが耳にしたことがありますね。
千利休も謎に包まれた人物です。
> このシリーズ楽しみにしています。
> ちなみに ”八百万の神様が被征服者にならなかったことにはそれなりの理由があると私は見ております。”
> とても興味があるので良かったら教えてください。
有難うございます。ごく簡単に説明させていただきます。
我が国はもともと八百万の神様が同時に存在する多神教であり、他の宗教が入ってきても、我が国にふさわしい形に変化する傾向にあります。例えば、成り立ちからして全く異なる仏教も「神仏習合」によって古来の神道と一緒にされてしまっていますよね。
キリスト教の場合、当初は侵略の手段に利用されたのと、誰であっても身分に差がないという考えが封建社会にそぐわなかったことで江戸幕府から迫害を受け続けました。明治時代になってようやく公認されましたが、その後も信者数は伸び悩み、我が国全体で1%程度しかいないとされています。
本来であれば公認された時点でもっと信者数が増えるはずなのですが、一神教のキリスト教が我が国の多神教の考えに及ばず、また仏教のように変化することができなかったからではないかと私は見ております。
もっとも、キリスト教の中にも「キリストの幕屋」のように我が国の風土に合わせようとする教団も存在していることを申し添えます。
mochimochi 丁寧な返答ありがとうございます。
実は今カトリック教会でも変化が起こっているらしいです。(これから数十年かけて)
男性の神に加えて、女性の神も認めはじめたのです。
なぜこういうこと起こっているか私自身はっきり知りませんが、本家本元に戻ろうとする試みだと思います。キリスト教以前は両方いたらしいですからね。
もしキリスト教が男性と女性の神になっても、日本にキリスト教が広まるとは思いませんけどね。
狭い内容ですみませんでした。
貴重なお時間を取って返信していただいきありがとうございます。
mochimochiさんへ
黒田裕樹 こちらこそ、私が存じ上げない貴重な情報を有難うございます。
我が国において外国の宗教が一般化するには、多神教を認めるように変化させるしかないのではと思っております。
今後のカトリックの進展については私も注目してみたいですね。