治安維持法は大正14(1925)年に普通選挙法(ふつうせんきょほう)と時を同じくして制定されましたが、その目的は普通選挙の実施(じっし)によって活発化されると思われた共産主義運動の取り締(し)まりにあり、それ以外の労働運動や社会運動までが対象とはなっていませんでした。
このことは、昭和3(1928)年に行われた普通選挙実施後初の衆議院総選挙で8名の無産政党(むさんせいとう)の議員が誕生しているという事実からも明らかです。ただ、当時は最高でも10年以下の懲役刑(ちょうえきけい)だったのが昭和3年には最高刑に死刑が追加され、戦局の悪化を受けて昭和16(1941)年までに取り締まりが強化されたのもまた事実です。
これらの事情を鑑(かんが)みれば、治安維持法が「悪法」であるという現実は動かしがたいものがあるでしょう。しかし、それならばなぜわざわざそんな悪法を当時の我が国は制定したのでしょうか。
その背景には、共産主義イデオロギーがもたらす「暴力革命」から我が国の国体(こくたい、国家としての体制のこと)を守るという、ある意味「当然の目的」があったのです。





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ぴーち おはようございます!
記事に関係ない話で恐縮ですが、
今朝ほど大きな地震があったようですね。
パソコンを起動し、ニュースを見て知りました。
黒田さんの所は大丈夫でしたか?
淡路島にお住まいの方は大丈夫だったのでしょうか。。。
思いもしない所に地震がまた発生しました。
北朝鮮問題、地震、火山の噴火等々。。
心配事が尽きない今日このごろです(;´д`)トホホ…
凸
ぴーちさんへ
黒田裕樹 ご心配くださり感謝いたします。
我が家とその周辺は無事でしたが、大きな地震でした。
仰るとおり心配の種は尽きないですね。
なぜなら、ロシア革命によってニコライ二世などロマノフ王朝の王族がことごとく虐殺(ぎゃくさつ)されたのみならず、ソ連が世界の共産化をめざして組織したコミンテルンにおいて、1922年に「君主制の廃止(はいし)」が目標とされたからです。
我が国にとって「君主制の廃止」とはすなわち「皇室=天皇の廃止」であり、絶対に許されるものではありません。また、ロシア革命の余波(よは)を受けて1920(大正9)年にニコライエフスクにいた約七百数十名の日本人全員が革命軍に殺害されるという尼港事件(にこうじけん)が起きていたこともあり、共産主義が我が国に広がることを当時の政府や国民が恐れたのは無理もないことでした。
だからこそ、「国体ヲ変革シ又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シ又ハ情(じょう)ヲ知リテ之(これ)ニ加入シタル者」を取り締まることを対象にした治安維持法が制定されたのです。





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ぴーち おはようございます!
黒田さんの所は被害が無かったとの事。安堵致しました。けれど、被害に遭われた方が大勢いらっしゃった様ですね(;´д`)トホホ…
今後、余震などにも、どうかお気をつけてお過ごしくださいね。
それと、今回のお話で、特に日本が神経を尖らせている意味が理解出来ました^^
確かに永年続いているこの奇跡にも似た君主制度を途絶えさせてしまうということは、日本にとっては糸の切れた凧と同様にもなり兼ねませんものね。
応援凸
ぴーちさんへ
黒田裕樹 お言葉有難うございます。
地震だけは避けようもありませんので、せめて被害を最小限にとどめられるようにしたいものですね。
仰るとおり、君主制の廃止は我が国の滅亡を意味しますから、当時の政府が必死になったのも無理はありません。
しかし、治安維持法による徹底(てってい)した弾圧(だんあつ)があったからこそ、我が国がソ連のように共産主義革命が起きることなく、結果として国家や国民を守ることができたのもまた事実なのです。
また、治安維持法で捕まった人々は、当時の大日本帝国憲法(だいにっぽんていこくけんぽう、別名を明治憲法=めいじけんぽう)によって天皇の名の下(もと)で取り調べが行われ、裁判を受けることができましたし、実際に治安維持法によって死刑を宣告(せんこく)された人間は一人もいませんでした。
戦前の共産主義の思想家で「非転向」を貫(つらぬ)いた人物がいたのも彼らの生命があったればこそだったのですが、その一方でソ連のような共産主義国家では、一旦逮捕(たいほ)されれば裁判も受けさせてもらえることなく直(ただ)ちに処刑(しょけい)された人々が無数に存在しているのです。
それに、特別高等警察(とくべつこうとうけいさつ、いわゆる特高=とっこう、のこと)による取り調べは確かに厳(きび)しく、中には小林多喜二(こばやしたきじ)のように拷問(ごうもん)を受けて殺された人物もいますが、共産主義国家のように最初から取り調べを受けさせてもらえることもなく有無(うむ)を言わさず死刑にされてしまうのとは全く意味が異(こと)なるということも理解すべきではないでしょうか。





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ぴーち おはようございます!
仰るとおり、確かに取り調べすら受けられずに
有無も言わさず処刑されてしまうのは、無念極まりない事ですよね。
けれど、取り調べとはあくまで名ばかりで、内容はどんなに釈明をしても、有無を言わさぬ状態でしたら、意味は同じ事。
それでも、ワンクッション設けてそこで命乞いをする場所を与えてくれるだけでも、善しとしなければならなかったのですね。
最近は警察などの事情徴収などの現場に録音装置を配備して執り行っていこうという傾向があるようですが、警察側は解決を急ぐあまりに焦る気持ちが激しい誘導尋問に繋がらない事を祈るばかりです。
応援凸
ぴーちさんへ
黒田裕樹 ぴーちさんのおっしゃることも理解できますが、取り調べの後に懲役刑で生きながらえることが多かったのと、はじめから殺されることが決まっていたのとでは、やはり次元が全く異なりますからね。
また、ソ連のコミンテルンもそれまでの暴力主義だけでなく、尾崎秀実(おざきほつみ)のようなスパイを日本政府の権力の中枢(ちゅうすう)にまで送り込(こ)むことにより、戦局がソ連に有利になるように我が国を内部から支配しようと考えるにまで至(いた)ったのです。
治安維持法を悪法と決めつけることは容易(たやす)いですが、そのようなレッテルを貼(は)って満足するだけではなく、なぜそのような悪法が制定されなければならなかったかのかという「歴史の大きな流れ」を考える必要があるのではないでしょうか。
ところで、戦後の思想界を中心に「治安維持法によって戦前の一般民衆が不当に弾圧された」と強調されたことによって、現代の政府や警察などがマスコミなどの世論に対して過剰(かじょう)に気を遣(つか)い、その結果として思想や宗教が絡(から)む凶悪(きょうあく)な事件に対する取り締まりが弱まっている傾向(けいこう)が見られます。
我が国のような法治国家において、組織的な暴力行為を是(ぜ)とする集団の存在は断じて許されません。治安維持法という「亡霊(ぼうれい)」に怯(おび)えるあまり、逆に我が国が存亡(そんぼう)の危機とならないようにするためにも、治安維持法に対する公平な認識を多くの国民が共有すべきではないでしょうか。





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晴雨堂ミカエル 黒田氏の歴史的背景を考察し原因を把握する姿勢は大切です。心に余裕の無い人間は左も右もできていません。特に左がひどいが。
ある左派系の自称ジャーナリストとネット上で口論になり、私が「相手の弁護士になったつもりで状況をみろ」と助言すると、その返答は私には信じがたい事でした。
「私は生身の人間なのでできない」
ジャーナリストとは事実関係を扱う職、情報の取り扱いは弁護士もジャーナリストも同じ、私には消防士が火事を目の前にして「生身の人間なので消火できない」と言っているようなもの。
さらに「あなたを弁護士のつもりで見ても同じ」とくる。
こんな理屈では、凶悪犯の弁護など不可能、冤罪も防げない。大袈裟にいえば法治の根幹を揺るがす。
事実関係の取り扱いをいちびっている一例です。
それ以前に、ライターとはまったく畑が違う旋盤工の私が努めようとしていることを、プロが最初から拒絶しているのが問題です。そんな輩が多い。
晴雨堂ミカエルさんへ
黒田裕樹 確かに余裕が感じられませんね。
いやしくも弁護士たるもの、相手の言うことを理解できなければ話になりません。
ぴーち おはようございます!
仰るように、悪が出現する背景というのは
、ある日突然、降って湧いた物ではなく
良いことにせよ、悪いことにせよ、常に周りとの関係の中から次第に生み出されていくものだと
私も思います。
善も周りを取り巻く環境の中から生まれ、それならば、悪も同じ事。
先日、北の挑発行為に関して中国が
来たばかりではなく、周りの諸外国にも責任はあると述べていましたが、その部分だけは一理あるなと思いました。
歩み寄る姿勢に方向転換すれば、北だとてそれ以上の馬鹿騒ぎを試みる事は無いはずですしね(^^ゞ
応援凸
ぴーちさんへ
黒田裕樹 仰るとおり、悪の環境も一国だけでは有り得ませんからね。
とはいえ、余りもの暴走行為は何とかしてもらいたいものですが…。
オバrev 遅コメ申し訳ないですm(_ _;)m
治安維持法の記事を通して読ませて頂きましたが、なるほど仰るとおり歴史的事実は多面的に検討する必要があると痛感しました。
でもそれができる教育者はどれだけおられるのでしょうか?
オバrevさんへ
黒田裕樹 > 遅コメ申し訳ないですm(_ _;)m
いえいえ、お忙しい中をありがとうございます(^ω^)
> 治安維持法の記事を通して読ませて頂きましたが、なるほど仰るとおり歴史的事実は多面的に検討する必要があると痛感しました。
> でもそれができる教育者はどれだけおられるのでしょうか?
正直言って少ないでしょうね。
「治安維持法=悪」という固定観念が染み付いてしまっていますから。
そこから脱却できない限り、歴史の教師と名乗ってほしくないですね。