同年6月の終わり頃、調査団は朝鮮半島を通過して日本に向かったのですが、その途中(とちゅう)で京城(けいじょう、現在のソウル)に着いた調査団が朝鮮総督府を訪問した際、アメリカ代表のマッコイ少将(しょうしょう)が宇垣一成(うがきかずしげ)朝鮮総督に対して述べた感想が、外国人から見た当時の我が国による朝鮮半島の統治について具体的に知ることができる貴重な資料となっていますので、少し長いですが紹介します。
「自分は昨夜来、東洋における一つの驚異(きょうい)を発見した。それは、今回の長い旅行における大きい収穫(しゅうかく)であった。同時に、自分の今日までの研究不足をしみじみと恥(は)じている。何であるかといえば、朝鮮に対する全般的な認識の相違(そうい)である」。
「我々は、朝鮮という所は大体満洲の延長であるから、相変わらず匪賊(ひぞく、集団をなして略奪や暴行などを行う盗賊のこと。政府に敵対する集団を意味することもある)が横行(おうこう)し、産業も振(ふ)るわず、赤土色(あかつちいろ)の禿山(はげやま)の下で民衆は懶惰(らんだ、面倒くさがって怠けること)の生活を送っているとばかり思っていた」。
「しかるに、列車が一度鴨緑江(おうりょくこう、中国と朝鮮の国境を流れる川)の鉄橋を越ゆるや、車窓(しゃそう)に隠見(いんけん、見え隠れすること)する時々物々、皆我々の予想に反し、見渡す山河(さんが)は青々として繁茂(はんも、草木が盛んに生い茂ること)し、農民は水田に出て孜々(しし、熱心に努め励むこと)として耕作に従事している」。




いつも有難うございます。
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ぴーち こんばんは!
自国の中に居ると
日本の長所も短所もなかなか顕著に
言い表せない部分がありますが、
第三者である外国の方から見ると
その両方がはっきりと認識出来るのでしょうね。
日本人のいい所は
イラク戦争での自衛隊派遣の時にも現地の方達に日本人の地道な活動が評価されていましたが嘗ての◯メリカ式の空から物資を派手にばらまいて、いかにも援助していますよと自国の善意的行動を世界に知らしめる為の派手さよりも、本当に現地で必要なものは何か・・という事をまず考え、与えるだけの手助けではなく、しっかり現地の人間がそこで自立して生涯暮らせるだけの手助けをするという地道な行いには頭が下がりますし、そういう日本人の考え方を誇りに思いますね。わざわざ目立つ様に世界へアピールするという行為は体裁だけ繕う行為であるようにも思います。
それほど目立つ行為ではないにせよ、現地の方達が長い目で見たときに一番ありがたいと思える行為が一番大切なんだと思います。
宮沢賢治の「アメニモマケズ」ではありませんが、
褒められもせず、苦にもされず・・のような奉仕の精神は理想であり、本当に大切なものは眼に見えない(見えづらい)
ものなんでしょうね。
応援凸
ぴーちさんへ
黒田裕樹 仰るとおり、当事者同士の評価よりも、信頼できる第三者となる外国での評価の方が信頼できますし、真実を物語っているというのがよく分かりますね。
自衛隊などの日本国としての行動が外国から正当に評価されることは嬉しいですし、日本人として誇りに思います。
HANA子 実際朝鮮半島や台湾に対する日本の統治態度は西欧諸国の植民地政策が比較できないものだったという同時代の証言はいくつもありますものね。
しかし、かたや併合であって日本という国の懐にあるものとして遇された朝鮮半島と、あくまで植民地として日本という国の外にあった台湾の間に差というものが出来てしまったのはなぜなんでしょうか?
正直韓国・・・というより朝鮮半島には隔意があるHANA子ですが、この台湾と朝鮮半島の差というものについては、極力その隔意──主観的なものを排した考察というものをいつか記してみたいと思います。
追伸:我が家・・・もというちのブログのリンクにセンセの家・・・もといこのブログを加えてもよろしいでしょうか?
よかったらよろしくお願いします。
HANA子さんへ
黒田裕樹 仰るとおり、主観的な立場を離れて今回のような事実を並べた客観的な面からの評価が、近代史の謎を解くカギになるのではと思っております。
> 我が家・・・もというちのブログのリンクにセンセの家・・・もといこのブログを加えてもよろしいでしょうか?
> よかったらよろしくお願いします。
もちろん喜んでお受けしますので、今後ともよろしくお願いいたします。
「これはとりも直さず、貴国(=日本)の植民政策が妥当(だとう、適切であること)であって歴代の総督が熱心に徳政を施(ほどこ)された結果であることを率直にお喜びすると同時に、今後における我々の朝鮮観を根本(こんぽん)より改めるであろう」。
この当時、我が国における朝鮮半島の統治は開始から21年しか経(た)っていないにも関わらず、マッコイは欧米列強による過酷(かこく)な植民地支配の実情に比べて、我が国の朝鮮半島の統治を絶賛(ぜっさん)したのです。
我が国が結果として朝鮮半島の独立を奪い、半島の人々の自尊心を傷つけた事実は厳粛(げんしゅく)に受け止めるにしても、朝鮮における我が国の統治手段は当時の外国から見ても素晴らしいものであったことから考えて、私たち日本人が朝鮮半島の人々に対していつまでも謝罪を続ける必要があるのかどうかを真剣に考える時期に来ているのではないでしょうか。
(※第24回歴史講座の内容はこれで終了です)




いつも有難うございます。
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ぴーち こんにちは!
たしかに私などの一般的な歴史素人が植民地という状態をイメージさせていただいた時に、
暴力的に無理やり服従されていたり、或いは虐げられた惨めな生活を送っているのではないのかと想像してしまうのですが、そうではなく、しっかりと日本によって統括され、規律規範の保たれた生活を送っている姿がそこにあれば、驚きを通り越して感動さえも抱かされる事でしょう。
今回の震災に関しても日本人の様々な物事への真摯な対応が世界からみると非常に奇特な事に思え、驚きの声が次々とあがっていますが、私たち日本人は今まで当たり前の様にそれらの事を実行していたと思うと改めて誇りに思うものです。
余計な事を言うようですが、そういう国民性は評価に値しても現在の内政に関しては褒められたものではないのが残念です・・・
応援凸
ぴーちさんへ
黒田裕樹 我が国に対する評価は、自国よりも他国を通じてのほうがより明確に分かる、ということですからね。
震災に関する様々な反響も誇りに思う一方で、我が国の伝統(?)ともいえる「政治は○流」だけは何とかしてほしいですね。
政権交代で国民がどんなことを期待したのか、今の政治家は分かっているのでしょうか…。
J時永 高校での授業ではここらへんの時代を黒歴史のように教わりました。日本が悪者にしか見えないくらいに。なのでこの講義を拝読して感動してしまいました;ω;やっぱり非道なことは派手にできないんですね…。
謝り続けるかどうかのことはなかなか難しいですよね。たとえ統治されていたとしてもそれによって大切なものを失った方々は少なからずともいるわけですから。しかしこの歴史がもっと広く知れ渡れば日韓の関係ももっと良い方向に変わると思います。
ところで昨日もこちらで大きな地震がありました。原発事故もなかなか前進しませんね。政府の対応が悪いとか東電が悪いとかいろいろ聞きますが実際のところどうなんでしょう。義援金は集まってもなお被災者の方々は不自由しています。もう先が見えなさすぎて末法の世、な感じです。今の日本には何が足りないのでしょか…やっぱり政治指導力ですかね?
長々と駄文(しかも脱線)失礼しました!
それではでは^^ノ
J時永さんへ
黒田裕樹 やっぱり高校での授業はそうなりますか…。
教え方にも色々ありますが、せめて賛否両論で進めたいものです。最終的な判断は生徒たちが行いますからね。
仰るとおり、我が国は良いことも悪いことも両方行っています。
それだけに、真実を知ったうえで両国が前向きな関係を築き上げてほしいと願っております。
今回の震災ですが、原発事故は人災の部分もありそうですね。
いずれにせよ、政治指導力がもう少しあれば、あるいはもっと違った状況になっているかもしれません。
お言葉大歓迎ですよ。
またぜひお越し下さい(^^♪
お久しぶりです
癒しグマ お久しぶりです。
昨日私のブログに書きましたが、徐々に復帰します。いつも訪問していただき本当に感謝しております。
また機会がありましたら是非講義を拝聴しに伺いたいと思います。
応援ポチ
癒しグマさんへ
黒田裕樹 いえいえ、こちらこそご訪問有難うございます。
復帰されるとのこと、嬉しく思います。
本物の講座の方はしばらくお休みをいただきますが、いずれはこちらも復活させますので、その際はよろしくお願いいたします。
歴史の書き手
青田です。 黒田先生
こんにちは
青田です。
歴史を考えるうえで、大事なことは、その歴史を書いたのは、誰かということですね。
当然、戦いの勝者が歴史を書きます。
つまり、勝者=正義、敗者=悪
ということは、当然、勝者にとって、都合のイイ歴史になるからですね。
だから、徳川綱吉が暗君、田沼意次は、悪人
徳川吉宗が名君、松平定信が正義の味方となるのように。。
そう考えると、戦後、GHQが、アメリカ=正義とするために、日本=悪の歴史も、自然な流れかもしれませんが、戦後、66年も経ち、日本も独立国家なのですから、そろそろ、偏らない歴史教育も必要な時期ではと思います。
青田さんへ
黒田裕樹 仰るとおり、私たちは「勝者の歴史」に惑わされないようにしなければいけません。
今日(平成23年8月21日)の午後に行われたフジテレビへの抗議デモが大人数で行われたように、声を上げるべき時が来ているのかも―。
同感です。
青田です。 黒田先生
こんにちは
青田です。
歴史というのは、書き手の思惑によって、
どのようにも変わります。
結局、何が真実かは、誰にもわかりません。
だからこそ、公平な立場で、Fact(その当時の記録)を基に考えないといけないですね。
白人至上主義のようないきすぎた自己にたいする慢心も嫌いですが、
人間は、神でもなかれば、聖人でもないので
いろんな日本人もいますが、
今の日本のようにいきすぎた自虐思考も嫌いです。
少なくとも、偉大な先祖が命のバトンをつないでくれたことに感謝するとともに、日本人としての、自信と誇りは、持ちたいです。
青田さんへ その2
黒田裕樹 私も同感です。
国難の時だからこそ、工作している人間はともかく、目覚めた国民が一致団結して立ち向かっていきたいですね。