食うか食われるかの厳しい世の中では、逆らってくる者に対して皆殺しなどの容赦ない攻撃を加えることは、ある意味仕方がないことでした。しかし、武力で相手を屈服(くっぷく)させたり、大胆な政策で庶民の支持を集めたりすることはできても、皇室や朝廷などの旧来の権威を超えることは容易ではありませんでした。
考え抜いた信長は、自らを神として祀る環境をつくって従来の権威を超えようとしましたが、それは同時に独裁者にありがちな 「自分がシロと口にすれば、どんなものでもシロになる」という危険な思想も伴(ともな)っていました。そして、こうした矛盾(むじゅん)が大きな形で爆発したのが、光秀による本能寺の変だったのです。
もし本能寺の変が起こらなかったら、信長はこの国をどう導(みちび)いていったのでしょうか。すべての謎(なぞ)を一気に消し去った光秀の天下はわずか10日余りで姿を消し、秀吉から家康へと世の中は移っていきましたが、信長の「歴史の転換者」としての完成した姿を想像することは、現代の私たちにとっても興味深い歴史ロマンと言えるでしょう。
(第19回歴史講座の記事はこれで終了ですが、次回[11月13日]に補足の記事を更新します。)




いつも有難うございます。
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佐佐木あつし 信長という存在は
作家から見ても過去に多くの作品が生まれているように、とても大きな存在です。
なぜああいった先見性や独自性があったのか?
駆け抜けて行ったあの人生は何だったのか?
先生のおっしゃるようにもし、本能寺がなければ・・
国が乱れるときほど
ああいった個性が生まれるのかもしれませんが
興味の尽きない人物なのは
確かです。
佐佐木あつしさんへ
黒田裕樹 > 信長という存在は
> 作家から見ても過去に多くの作品が生まれているように、とても大きな存在です。
これまでに数えきれないほどの作家が物語などに書いてきましたが、その勢いは永遠に衰える気配を見せないところは、先生の仰るとおりですよね。
> なぜああいった先見性や独自性があったのか?
> 駆け抜けて行ったあの人生は何だったのか?
> 先生のおっしゃるようにもし、本能寺がなければ・・
そこなんですよね。
本能寺の変がなかった場合の我が国が果たしてどのような変化をとげたのか、全く見当もつきません。
彼の先見性や独自性を考えれば、諸外国へ乗り出して行った可能性が高いのではないかと思いますが…。
> 国が乱れるときほど
> ああいった個性が生まれるのかもしれませんが
> 興味の尽きない人物なのは
> 確かです。
現代もだんだん乱世のような匂いがしてきましたが、果たして「21世紀の信長」は存在するのでしょうか?
興味が尽きない分、ぜひ現れてほしいものです。
ぴーち こんばんは!
確かに信長に限らず
坂本龍馬があんな形で暗殺されなかったら・
とか、これまでの日本の歴史の中で
志半ばにして命を奪われてしまった人物に対してそれぞれのその後を色々と模索してしまうというのは、ありますよね。
信長の場合はどうだったのでしょうか。。
遅かれ早かれ結果的に、ヒトラーや、フセインの様に
結局は独裁者の末路は自殺に追い込まれたり暗殺及び、抹殺されてしまう運命にあったのでしょうかね・・
応援凸
ぴーちさんへ
黒田裕樹 > 確かに信長に限らず
> 坂本龍馬があんな形で暗殺されなかったら・
> とか、これまでの日本の歴史の中で
> 志半ばにして命を奪われてしまった人物に対してそれぞれのその後を色々と模索してしまうというのは、ありますよね。
「歴史にifは禁物だ」という意見もありますが、今後の我が国の行く末を探るためにも、もしも龍馬や信長が生きていたらと想像することは決して悪いことではないと考えております。
特にこの二人は強く思いますね。
> 信長の場合はどうだったのでしょうか。。
> 遅かれ早かれ結果的に、ヒトラーや、フセインの様に
> 結局は独裁者の末路は自殺に追い込まれたり暗殺及び、抹殺されてしまう運命にあったのでしょうかね・・
そこなんですよね。
当時の信長には侍女の皆殺しなど、恐怖政治の一面がありましたが、日本人は伝統的にこうした政治手法、ましてや独裁者を嫌う傾向がありますからね。
現代でも「健忘」の人物あたりがそうなりつつあるようですが…。
なおまゆ いつも興味深く拝見しています。
織田信長は、先見性があったのでしょうか?
彼が意識的に時代を先取りしていたようには見えません。結果的にそう評価されたのが実情のように思っています。(だから天才なんでしょうね)
本能寺の変は、残念な事件でした。
彼がもう2年生きていれば日本は統一されていたと思います。
おそらく、天皇は消滅し、一時的に織田皇帝が誕生したかもしれません。
ただ、部下に背かれ命をおとす可能性は大きかったと思います。豊臣秀吉あたりが謀反をしたかもしれませんね。
本能寺の変は、明智光秀が実行したのでしょうか?
私は、光秀は信長の意向を最もよく理解、実行した武将とみています。変当日も信長の親衛隊として上洛し、護衛したものと思っています。
実行犯は部下の中に潜んでいたと考えています。
尤も人の数だけ原因があるといわれる事件ですから、そこを考えるのもロマンかなと思います。
歴史を転換し損ねた「未完の皇帝」にもう一度、できれば現代で完成した姿を見せて欲しい。
先生のブログを読み、そんなことを思いました。
なおまゆさんへ
黒田裕樹 > いつも興味深く拝見しています。
有難うございます。
> 織田信長は、先見性があったのでしょうか?
> 彼が意識的に時代を先取りしていたようには見えません。結果的にそう評価されたのが実情のように思っています。(だから天才なんでしょうね)
なるほど、天才であるがゆえに結果としてそうなったというわけですね。確かにそういった面もありそうです。
> 本能寺の変は、残念な事件でした。
> 彼がもう2年生きていれば日本は統一されていたと思います。
> おそらく、天皇は消滅し、一時的に織田皇帝が誕生したかもしれません。
> ただ、部下に背かれ命をおとす可能性は大きかったと思います。豊臣秀吉あたりが謀反をしたかもしれませんね。
馬揃えの件もありましたし、自らが神になるという発想は、最終的にはもう一人の「現人神」の消滅を目指すことにもつながりますから、皇室の否定も、また配下の謀反も可能性はありそうですね。
> 本能寺の変は、明智光秀が実行したのでしょうか?
> 私は、光秀は信長の意向を最もよく理解、実行した武将とみています。変当日も信長の親衛隊として上洛し、護衛したものと思っています。
> 実行犯は部下の中に潜んでいたと考えています。
> 尤も人の数だけ原因があるといわれる事件ですから、そこを考えるのもロマンかなと思います。
なおまゆさんが以前から仰っておられるご見解ですね。
様々な説を考えるのは、確かに歴史の大きなロマンだと私も思います。
> 歴史を転換し損ねた「未完の皇帝」にもう一度、できれば現代で完成した姿を見せて欲しい。
> 先生のブログを読み、そんなことを思いました。
乱世ともいえる現代は、一度信長のような「革命児」が現れた方がいいのかもしれませんね。
そのうえで完成された姿を見出せれば、この国はどの方向へと進むのでしょうか…。
:黒田裕樹さん
風早 りら 信長が殺害されず
生存していて 天下を 統一したら
彼は自分を神格化することを
止めたと思います
利口な彼は 恐怖政治は長くは 続かない
ことにの 気がついたと思います
風早りらさんへ
黒田裕樹 > 信長が殺害されず
> 生存していて 天下を 統一したら
> 彼は自分を神格化することを
> 止めたと思います
> 利口な彼は 恐怖政治は長くは 続かない
> ことに 気がついたと思います
最終的に天下を統一した家康は、自分のような独裁政治では徳川家が長続きしないことに気がついて、跡継ぎにわざと凡庸な秀忠を選んで、話し合いの政治に持っていくことで江戸幕府を260年間も保つことに成功しましたね。
家康は、おそらく信長や秀吉の末路を間近で見て気づいたと思うのですが、信長であれば、仰るとおり統一後に自ら気が付いた可能性もあると私も思います。
オバrev 信長についての歴史講座、大変興味深く拝見させて頂きました。
しかし講座が終わった今でも謎は多いですね。もっと深く知りたいと思いましたが、歴史ってのは残っている資料から推測するしかない所があってなかなか全容解明は難しいですよね。
でももし信長が本能寺の変を切り抜けていたら、やはり人間ですから傲慢になって、人心が逃げていって結局長期政権にはならなかったような気がします・・・というのは私のような凡人が考えることで、そういう凡人の考えの及ばないことをやっていたかもしれません(^^;)
それにしても、歴史上の有名な人物ってのは、我々の世代から見るとそれぞれに凄いことをやっているし、その考え方も現代に通ずるものがあると思います。
今後の講座も楽しみにしています♪
オバrevさんへ
黒田裕樹 > 信長についての歴史講座、大変興味深く拝見させて頂きました。
> しかし講座が終わった今でも謎は多いですね。もっと深く知りたいと思いましたが、歴史ってのは残っている資料から推測するしかない所があってなかなか全容解明は難しいですよね。
そうですね。物語の世界では大胆な構想を練ることも可能ですが、史実に沿った内容を目指すとなると、どうしてもわからないところが増えてしまいがちです。
> でももし信長が本能寺の変を切り抜けていたら、やはり人間ですから傲慢になって、人心が逃げていって結局長期政権にはならなかったような気がします・・・というのは私のような凡人が考えることで、そういう凡人の考えの及ばないことをやっていたかもしれません(^^;)
正直私にも見当がつきません(^^ゞ
通常なら独裁者の末路として片づけられそうですが、普通では考えられないような発想を持つ信長ですから、ひょっとすると上手に切り抜けた可能性もありますし。
> それにしても、歴史上の有名な人物ってのは、我々の世代から見るとそれぞれに凄いことをやっているし、その考え方も現代に通ずるものがあると思います。
> 今後の講座も楽しみにしています♪
有難うございます。
歴史は私たちにとって最高の「生きた教科書」ですから、大いに参考にしたいものですね。