私たち日本人は、昔から「正義の味方」や「ヒーロー」などの英雄を好む傾向がありますね。古くは平安時代末期に平家を滅(ほろ)ぼしながらも、非業(ひごう)の最期を遂(と)げた源義経(みなもとのよしつね)という「ヒーロー」がいましたし、21世紀の今日(こんにち)でも、子供たちは「○○マン」や「○○ライダー」、あるいは「○○レンジャー」といった「正義の味方」に憧(あこが)れを持っています。
また、江戸時代の人物の中で、現代でも「正義の味方」としてもてはやされているのが少なくとも3人存在するのですが、皆さんはご存知でしょうか?
一人目は、現在もテレビ時代劇で放送が続けられている「水戸黄門」(みとこうもん)こと徳川光圀(とくがわみつくに)で、二人目は同じくテレビで長い間親しまれた南町奉行(みなみまちぶぎょう)の「大岡越前」(おおおかえちぜん)こと大岡忠相(おおおかただすけ)です。この二人は17世紀後半から18世紀前半にかけての実在の人物ですが、もう一人、彼らより約100年遅れた19世紀半ばに存在した「正義の味方」がいます。
もちろん「遠山の金さん」こと町奉行の遠山景元(とおやまかげもと)のことです。一般的には「桜吹雪(さくらふぶき)の刺青(いれずみ)」で有名な「金さん」ですが、遠山景元の実像については意外と知られていないようですね。
今回の講座では、遠山景元の波乱に満(み)ちた生涯(しょうがい)をたどりながら、当時江戸幕府(えどばくふ)で行われていた天保の改革(てんぽうのかいかく)や、その実行者である老中(ろうじゅう)の水野忠邦(みずのただくに)と金さんとの関連性などについて探(さぐ)ってみたいと思います。




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