秀吉は如春尼からの申し出を受けて、遺言状は本物であり、正式な継承者は准如であるとして、教如に対して当時京都にあった本願寺からの退去を命じました。教如は抵抗したかったのですが、裁定が本願寺側からの申し出であり、また我が国の絶対的な支配者であり、数十万の兵力を動かすことのできる秀吉の命令だったこともあって、結局は泣く泣く准如に宗主の座を譲(ゆず)って引退しました。
時は流れ、我が国の支配者の座が秀吉から家康に移ると、1602年に教如は家康に呼び出されて、従来の本願寺のすぐ近くに土地を与えられ、新たに「本願寺」を建てました。当時の我が国史上最大の教団であった本願寺は、この日から二つに分裂(ぶんれつ)したのです。
一つの勢力が二つに分かれると、お互いの勢力争いを始めることで、それまで外に向かっていたエネルギーが内へと流れる傾向(けいこう)があります。本願寺の場合も例外ではなく、これ以降は本願寺同士の争いが中心となり、国家権力に対抗することはなくなりました。本願寺側にとっては失礼な物言いになるかもしれませんが、秀吉と家康による本願寺の「分割統治」(ぶんかつとうち)が見事に成功し、それが未だに続いているといっても過言ではないのです。
なお、現代では准如側が「西本願寺」(にしほんがんじ)で「浄土真宗本願寺派」(じょうどしんしゅうほんがんじは)、教如側が「東本願寺」(ひがしほんがんじ)で「真宗大谷派」(しんしゅうおおたには)と呼ばれています。




いつも有難うございます。
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ぴーち こんにちは!
西本願寺と東本願寺の違いが理解出来ました!ありがとうございます♪
応援凸
.
紗那 本願寺が2つあるのは知ってましたが、なるほど。西と東のそれぞれの開祖(?)は知りませんでした。
宗教勢力を解体するのに、これだけの労力がかかるんですね。。。
ぴーちさんへ
黒田裕樹 > 西本願寺と東本願寺の違いが理解出来ました!ありがとうございます♪
本願寺が二つに分かれている理由については、意外と知られていないようですからね。
お家騒動があったのは事実ですが、その背景には家康の巧妙な計算があったのです。
紗那さんへ
黒田裕樹 > 本願寺が2つあるのは知ってましたが、なるほど。西と東のそれぞれの開祖(?)は知りませんでした。
> 宗教勢力を解体するのに、これだけの労力がかかるんですね。。。
確かに開祖ですね(^^ゞ
分割統治に至るまでにかなりの時間がかかっていますからね。政教分離への道は一筋縄ではいかなかった、ということです。
.
オバrev なるほど~!
秀吉と家康によって、東本願寺と西本願寺に分かれたんですね。
いずれが狐か狸か、いずれにしても百戦錬磨の2人にかかれば、国内最大の教団も赤子同様?
安芸門徒は西本願寺ですが、その始まった経緯を初めて知りました(^^;)
オバrevさんへ
黒田裕樹 > なるほど~!
> 秀吉と家康によって、東本願寺と西本願寺に分かれたんですね。
> いずれが狐か狸か、いずれにしても百戦錬磨の2人にかかれば、国内最大の教団も赤子同様?
(信心深いかどうかは疑問ですが)門徒の一人としては残念ながら、天下統一の英傑の前では敵ではなかった、というところでしょうか。
> 安芸門徒は西本願寺ですが、その始まった経緯を初めて知りました(^^;)
私も西本願寺派です。なぜ二つに分かれていたかは長年の疑問だったのですが、理由を初めて知ったときは唖然としました(^^ゞ
.
りら はげましのコメント有難うございました。とても嬉しかったです
お返事遅れましたが今日書きました
先生のアップと関係の無い内容で
すみません。パソコンで疲れてしまいました。機械音痴なので!!
りらさんへ
黒田裕樹 復活おめでとうございます!
良かったですね(^_^)v
またブログに訪問させていただきます。
江戸幕府はキリスト教を弾圧する手段の一つとして、全国の各寺院に隠(かく)れキリシタンの探索(たんさく)を依頼しました。寺院側が協力に応じると、その見返りとして幕府は寺院周辺の住民を檀家(だんか)として、寺院への参詣(さんけい)や父祖(ふそ)の法要(ほうよう)、あるいは寺への付け届けを義務付けて、これらに応じなければキリシタンとみなすという制度を取り入れました。
この制度によって、国民は必ずどこかの檀家にならねばならず、また離脱(りだつ)する自由も認められなくなった一方で、寺院側はそれこそ「何もしなくても」檀家の参詣や法要、あるいは付け届けで生計が立つようになったのです。一見すれば「寺院が住民を支配している制度」ですが、その裏で国家権力が寺院に「権益」を与えて逆に統制することで、宗教が政治に関わる必要を一切なくしてしまったのでした。
かくして我が国では宗教が政治に関わることがいつしか「あり得ない」こととなり、政教分離の原則が完全に定着しました。そして、これらの影響は現代においても続いているのです。




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ぴーち こんばんは!
キリスト教弾圧の一環として行われた檀家制度が、果ては政教分離にも一役買うとは、さすがに家康ですね。
一石二鳥とも言えるこの現象は、
家康の当初の
意図的なものだったのですか?それとも偶然に生まれた産物だったのでしょうか?
確かに何もしなくても、お金が入れば、宗派も必要以上の野望を持たなくて済むかも知れませんしね。
では応援凸
ぴーちさんへ
黒田裕樹 > キリスト教弾圧の一環として行われた檀家制度が、果ては政教分離にも一役買うとは、さすがに家康ですね。
> 一石二鳥とも言えるこの現象は、
> 家康の当初の
> 意図的なものだったのですか?それとも偶然に生まれた産物だったのでしょうか?
> 確かに何もしなくても、お金が入れば、宗派も必要以上の野望を持たなくて済むかも知れませんしね。
檀家制度は家康の死後の話ですが、おそらくは家康の遺志を受け継いで考え出された最高傑作でしょう。政教分離の究極の形として、練りに練って考え出されたと私は思っています。
こんばんは.
りら 檀家制度がキリスト教弾圧の手段だった事は知りませんでした
今でも習慣的に続いている檀家制度
いつの時代にも宗教が政治に利用されてきましたよね
悲しい事ですよね
いつも先生の講座で自分の無知に気が付きます これからも宜しく
お願い致します
りらさんへ
黒田裕樹 > 檀家制度がキリスト教弾圧の手段だった事は知りませんでした
> 今でも習慣的に続いている檀家制度
> いつの時代にも宗教が政治に利用されてきましたよね
> 悲しい事ですよね
宗教が政治を支配するのではなく、政治に利用されるのも、政教分離のもう一つの姿ですね。
確かに悲しいことかもしれません。
> いつも先生の講座で自分の無知に気が付きます これからも宜しく
> お願い致します
いえいえ、りらさんもご復活何よりです。こちらこそよろしくお願いします。
こんばんは
スカイラインV35 確かに日本の政教分離は、西洋より先進的な感じが私はします。日本独力でやってもいますし。
しかし、現代の日本政府と神道の関係など、私の中ではモヤモヤが解決出来ない感じがしています。
アメリカの大統領就任式などは、聖書も登場するし、神に誓う事もやっていると聞いていますが、日本では首相が神社に行く為に、公用車か否か、玉ぐし料は公費かポケットマネーか、などやっている。。。
何かがモヤモヤします・・・
スカイラインV35さんへ
黒田裕樹 > 確かに日本の政教分離は、西洋より先進的な感じが私はします。日本独力でやってもいますし。
家康や江戸幕府の巧妙な手法は、一神教にとらわれた西洋に比べればかなり先進的でもありますからね。
> しかし、現代の日本政府と神道の関係など、私の中ではモヤモヤが解決出来ない感じがしています。
> アメリカの大統領就任式などは、聖書も登場するし、神に誓う事もやっていると聞いていますが、日本では首相が神社に行く為に、公用車か否か、玉ぐし料は公費かポケットマネーか、などやっている。。。
> 何かがモヤモヤします・・・
そうですね。私の見解については、最終回(14日)で紹介したいと思います。
お久しぶりです
h.hamauzu こんばんは。
政教分離は、個人的には良いことだと思いますが、
こんなウラ話があったのですね。
むしろ利用されたという。
なんだか、坊主丸儲け、
という言葉が浮かんできたり、、、w
でも宗教の名のもとに、どんぱちやらかすの国を思えばいいのかな~
ウーン、取り留めのないコメントですみません(^^;;
h.hamauzuさんへ
黒田裕樹 > 政教分離は、個人的には良いことだと思いますが、
> こんなウラ話があったのですね。
> むしろ利用されたという。
> なんだか、坊主丸儲け、
> という言葉が浮かんできたり、、、w
確かに「坊主丸儲け」ですね(^^ゞ
仰るとおり、この時代の宗教団体は、利益を与えられることで完全に利用されています。
> でも宗教の名のもとに、どんぱちやらかすの国を思えばいいのかな~
> ウーン、取り留めのないコメントですみません(^^;;
いえいえ、お言葉をいただけて感謝しておりますよ(^_^)v
利用されるのが良いとは言えませんが、政治上の宗教による対立で血で血を洗う戦いが現代も続いていることを考えれば、どちらが幸福かはおのずと答えが出てきそうな気がします。